3つ数えて目をつぶれ

映画と本の感想のみを綴ります。特に映画。ご連絡はhoto5now★yahoo.co.jp(お手数ですが★を@に変えてください)まで。

地上最後の刑事 を含む記事

2014年ベスト本

2014年に読んだ本(旧作含む)の中、特に良かったもの10点。今年は諸々の事情で読書が進まなかった・・・。来年もあんまり読めなさそうなのが辛いが、自分にマッチする作品を見落とさずにいたい。

1.ジェラルド・ダレル『虫とけものと家族たち』
 イギリスでは長年ベストセラーとして愛されている作品だそうだ。自然への観察眼と生き生きとした描写が素晴らしい。
2.アン・ビーティ『この世界の女たち アン・ビーティ短編傑作選』
 ”普通”のことのしんどさに、心えぐられる短編集だった。
3&4.山岸真編『SFマガジン700【海外篇】』&大森望編『SFマガジン700【国内篇】』
 SFマガジン創刊700号記念のアンソロジー。国内・海外ともにバランスよく初心者にもお勧めできる。
5&6.杉江松恋編『ミステリマガジン700【海外篇】』&日下三蔵編『ミステリマガジン700【国内篇】』
 SFマガジンが来たら当然ミステリマガジンも入れたい(笑)。
7.アントニオ・タブッキ『いつも手遅れ』
 ほんのり甘い中にも苦さが広がる。
8.トム・フランクリン&ベス・アン・フェンリィ『たとえ傾いた世界でも』
 やっぱりこういうのがすきなんだよなー。
9&10.ベン・Hウィンタース『地上最後の刑事』&『カウントダウン・シティ』
 シリーズなので一緒に。これもまた「傾いた世界」であるが、傾かず生きようとする主人公に好感。


『カウントダウン・シティ』

ベン・H.ウィンタース著、上野元美訳
小惑星が衝突するまで77日と予測されている地球。社会は混乱し、崩壊しつつあった。元刑事のパレスは、知り合いの女性から突然姿を消した夫を探してほしいと頼まれる。電話もインターネットもろくに機能しない中、失踪者を探しだせる可能性は低い。しかしパレスは調査を開始する。『地上最後の刑事』に続き、終末を迎えつつある世界で探偵する主人公を描くシリーズ2作目。法律を守り「警官」(本作では警察を辞めているが、彼のメンタリティはいまだ警官)たろうとするパレスの行為は、正しいようにも見えるが、彼の置かれた環境を考えると、むしろ奇異にも見える。犯罪者を逮捕しても裁かれる前におそらく(小惑星衝突により)死亡してしまうだろうし、失踪者は「死ぬまでにやりたいことリスト」を消化するためにいなくなったのかもしれない。前作ではかろうじて社会らしきものが保たれていたが、本作ではより混乱が深まり、物資の奪い合いの為の闘争も頻発している。パレスの妹にしろ、キーマンとなる人物にしろ、絶望から逃れる為にはかない望みにすがったり、ある種の強迫観念に駆られて行動したりしているように、現実を直視していないように見える。しかしパレスの(法にのっとった)正義を守ろうとする、秩序を保とうとする姿勢もまた、ある望みにすがっているもの(少なくとも生存本能には反している)のではないか。そして同時に、非常にハードボイルド的でもある。バカみたいかもしれない、でもやるんだよ!という(そんなに威勢のいいものではないが)パレスの姿勢が次作(3部作だそうだ)ではどのように見られるのか。引きの強いラストで続きが気になってたまらない。

『地上最後の刑事』

ベン・H・ウィンタース著、上野元美訳
半年後に小惑星が衝突し、人類滅亡すると予想された地球。ある町のマクドナルドのトイレで、首吊り自殺と思しき男性の遺体が発見された。人類の未来に絶望して自殺者が多発していた折、その一貫だと思われていたが、新人刑事パレスは違和感を感じ、他殺の可能性を調べ始める。もうすぐ人類滅亡するというので人々は職務放棄し、インフラも流通も製造もがたがたになる。そんな中、地味に事件を捜査するパレスは変人扱いされている。自殺「ぽい」ならもう自殺扱いでいいじゃないか(殺人だとしてもどうせ全員死ぬし)というわけだ。そんなことをやっている暇があるなら、限られた時間の中でやり残したこと、やりたいことをやってはどうか、それが人間らしいってことじゃないかと。しかしパレスにとっては事件を正当に解決すること、警官としての職務を全うすることが人間らしく生きるということなのだ。淡々と日々をこなしていくパレスの姿にはどこかほっとさせるものがあった。こういう人たちが世界を支えているのではないかと。何を人間らしさとするか、ということが事件の背景にあったのではとも思える作品。


地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
渚にて【新版】 人類最後の日 (創元SF文庫)

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