花田菜々子著
家族、恋愛、仕事、社会や他者との関わり、そして自分自身のあり方。人生の中で直面する様々な問題を、名物書店員・ライターである著者と20名のゲストが語る対談集。
20名のゲスト年齢も性別も職業も考え方も立ち位置もまちまちで、共通項は何か本を書いたことがあるということ程度(だから書店員である著者との関わりが生まれているわけだが)。著者と似たスタンスの人もいるし、考え方が結構違うんだなという人もいる。しかし20編の対談を全部読むと、不思議と統一感がある。色々違うところはあるが、自分と向き合い続ける姿勢、自分も他者も個として尊重する(しようと心がける)姿勢が共通しているのだ。
それにしてもどの対談相手もパワーワードの連打でとても面白かった。近年読んだ対談集の中ではぶっちぎりで読者としてのテンション上がった気がする。特に絵本作家ヨシタケシンスケとの対談「大人だって完璧ではない」、窪美澄との対談「子持ちの恋愛」は、著者のパートナーが子供のいる人であるという背景とあいまってやたらと説得力、切実さがあった。この2編が本著の最初に配置されているからインパクト強かったということもあるのだろうが、完璧でない人間がどうやって「大人」をやるのか、子供の前でどう振舞えばいいのかという所で話題がリレーされるような面白さがあった。