スティーヴ・キャヴァナー著、横山啓明訳
裁判所に泊まり込むほど仕事にのめり込み、家庭を顧みなかった弁護士のエディー・フリンは、妻子に見放され、酒に溺れ失業同然の状態だった。そんな時、ロシアンマフィアの大物が彼を拉致する。突きつけられた要求は、娘を殺されたくなければ自分を弁護し、自分に不利な証言者を爆弾で殺せというものだった。フリンは娘を取り戻すため、かつては凄腕と言われた弁護士のスキル、そして弁護士になる前の「仕事」であった詐欺のスキルを駆使して難題に挑む。面白かった!数日間という限られた時間の中でスピーディーに展開され、かつ派手な見せ場(まさかのアクション要素も)も多いので映画化にも向いていそうだ。テンポがよくぐいぐい読ませる。フリンは弁護士としては有能だが勝つ手段は選ばないくそったれでもあり、元々詐欺師だという後ろ暗さもある。決して「いい人」というわけではないのだが、娘に対する愛だけは本物。その娘を守る為になりふりかまわず戦う姿は、だんだんかっこよく見えてくる。八方塞の中、彼の心を支えるのは娘の存在だけなのだ。折々で娘とのやりとりが回想されるのだが、これがなかなか(ちょっと理想的な娘すぎるんだけど)いい。フリンにとって娘の存在だけがよりどころになっていることがよくわかるのだ。シチュエーションとしてはそれほど斬新ではないと思うが、こういうディティールの作り方と、話のスピード感で読ませる。なお、弁護士としての答弁のコツと詐欺のテクニックが似ており、いい詐欺師はいい弁護士になりうるのかと妙に納得・・・しちゃいかんか(笑)。しかしこういう風に陪審員をコントロールするのか!といった部分の面白さもあった。