3つ数えて目をつぶれ

映画と本の感想のみを綴ります。特に映画。ご連絡はhoto5now★yahoo.co.jp(お手数ですが★を@に変えてください)まで。

『冬の炎』

グレン・エリック・ハミルトン著、山中朝晶訳
 軍を除隊し、故郷で求職中のバン・ショウに、祖父の友人だったウィラードが頼みごとをしてくる。恋人と共に山荘に出かけたきり戻らない姪のエラナを探してほしいというのだ。雪山へ出向いたバンは、若い男女の死体を発見する。死体の損傷は激しく、男性がエラナを射殺し自殺したように見えたが。
 『眠る狼』に続くシリーズ第2作。バンが事件を追っていく経緯と、過去の出来事とが交互に語られるのは前作通り。ただ、現在の事件の追い方がちょっとでこぼこというか、強引なように思った。ちょっと後出しジャンケンぽいかな・・・。とはいえ、戦地で傷を負ったバンのトラウマは、本作の方がよりはっきりと描かれているように思う。バンの部下だった元レンジャーのレオが登場するが、彼もまた精神的なダメージを負っている。バンの前に現れた時の、当たりはやわらかだがどこか落ち着きがなく、不安定さが垣間見える所作が印象に残った。隣家の犬と触れあうくだりはちょっと可愛いのだが痛ましくもある。人間相手だと安心できないということだから。傷を理解し合う者としてのバンとレオのバディ感も良い。ただ、バンと恋人ルースとの関係は反比例で危うくなる。バンが過去の自分を追い物騒なものに惹かれ続ける(本作でもわざわざ自分で事態を面倒くさくしたり相手を無駄に挑発する傾向あり)限り、ルースは彼と生きていくことはできない。3作目(日本では未訳)ではどうなっているのか気になる。

冬の炎 (ハヤカワ文庫NV)
グレン・エリック・ハミルトン
早川書房
2018-05-17





眠る狼 (ハヤカワ文庫NV)
グレン・エリック・ハミルトン
早川書房
2017-04-06

『ふたつの人生』

ウィリアム・トレヴァー著、栩木伸明訳
 長年施設で暮らすメアリー・ルイーズの耳には、ロシアの小説を朗読する幼馴染の青年の声が今でも聞こえている。約40年前、彼女は年上の商人エルマーと結婚し、彼の2人の姉と共に暮らし始めたのだが。メアリーの人生を描く「ツルゲーネフを読む声」の他、列車内で爆発事件に巻き込まれた作家エミリー・デラハンティと、同じ事件で生き残った3人の被害者を描く「ウンブリアのわたしの家」の2編を収録。
 ある女性の人生を描いた作品2編を収録しているから『ふたつの人生』なのだが、それぞれの作品の主人公がある意味で「ふたつの人生」を生きているという、二重の意味合いになっている。メアリーはエルマーと結婚するが、ぼんやりとした夫と批判的な義姉たちとの慣れない生活は、決して満たされるものではなかった。そんな折、いとこのロバートと再会し、彼との交流が心の支えになっていく。彼への思い、彼との生活に対する夢想はやがて彼女の生活を侵食していくのだ。エルマーと結婚した人生とロバートと共に歩む人生、2つの人生が彼女の中に併存している。他人には狂っていると思われるんだろうけど、自分にとってより真実味が感じられるものこそが真実ではないかと思わずにいられない。ラストには震えた。「現実」とやらに居場所がないなら他に居場所を作って何が悪い、と言わんばかりのメアリーの生き方は心に突き刺さる。
 一方、「ウンブリアのわたしの家」の語り手であるエミリーはロマンス小説作家であり、それこそ望ましい人生を頭の中で生み出すことを生業としている。彼女が語りだすそれぞれの人生は、彼女が相手から聞いたことなのか、彼女の空想の中身なのか、だんだんわからなくなっていく。彼女もまた積極的に「もうひとつの人生」を生きようとする人なのだ。


聖母の贈り物 (短篇小説の快楽)
ウィリアム トレヴァー
国書刊行会
2007-02-01


『ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲』

久賀里世著
 歌手だった母親を亡くしたオーランドは、名門である亡き父の一族に疎まれ、北イングランドの寄宿制神学校に送られる。学校へ向かう汽車の中で、風変りな少年が声をかけてきた。かつて汽車の中から姿を消した子供が、生者を道連れに誘うのだと言う。若き日のラフカディオ・ハーン=小泉八雲が怪異を解き明かす連作集。
 ハーンは作中ではパトリックという名で呼ばれており(ハーンの出生名はパトリック・ラフカディオ・ハーン)、彼が作家「ラフカディオ・ハーン/小泉八雲」になる前の青春譚とも言えるだろう。性格等のキャラクター造形はほぼオリジナルと言ってもいいと思うが、生い立ちや目が悪かったこと等は史実通り。日本への憧れに繋がる伏線も出てくる。古典作家の「キャラ」化が最近盛んだが、八雲は実際に相当クセのある人だったみたいだし、キャラ化に向いているのかも。
 妖怪・幽霊譚を取り入れたミステリは、「この世」が担当する部分と「あの世」が担当する部分の兼ね合いが難しいように思う。本作も、これだったら全部妖怪・妖精の仕業にしてしまってもいいのでは、あるいはオカルトを否定するミステリとしてもいいのではという部分があり中途半端な印象はある。とは言え、遭遇する怪異を通してオーランドが母親に対する思いのわだかまりをほどいていく過程や、学園ドラマ的な同級生とのやりとり等はこなれていて読ませる。



小泉八雲集 (新潮文庫)
小泉 八雲
新潮社
1975-03-18

『ブラックパンサー』

 アフリカにある王国ワカンダは、絶大な力を秘めた鉱石ヴィブラニウムを利用し、密かに超文明を築いていた。ヴィブラニウムが悪用されることを防ぐ為、代々の国王の元、秘密を守ってきたのだ。父である前国王の死により王位を継承したティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)は、王位継承の儀式の中でブラックパンサーとしての超人的な力を得る。ヴィブラニウムの輸出をもくろむ武器商人のユリシーズ・クロウ(アンディ・サーキス)と彼に協力する元工作員エリック・キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)の存在を知り、国を守る為に元婚約者で諜報員のナキア(ルピア・ニョンゴ)、王国最強の戦士オコエ(ダナイ・グリラ)らと動き始めるが。監督はライアン・クーグラー。
 クーグラー監督の前作『クリード チャンプを継ぐ男』はザ・少年漫画!的な王道感が熱かったが、本作もなかなかの少年漫画感。アベンジャーズシリーズで既に登場しているブラックパンサー=ティ・チャラは大変クールでかっこよく陛下素敵!超頼もしい!と思っていたのだが、本作を見てみると、最初は意外と未熟で悩める青年という感じ。ナキアはじめ周囲の女性たち(ハーレム的でなく女性に囲まれているヒーローが登場するようになったんだなとも)の方がよっぽど頼もしい。そんなティ・チャラが国を守るとは、良き王になるとはどういうことなのかと葛藤し、前王を越えていく、ストレートな成長物語だ。なので、そんなに捻ったストーリー展開ではないしストーリーに限って言うとそれほど突出して面白いわけではない。アクションシーンも3Dを意識しているのかカメラがぐるぐる動き、目まぐるしくて期待していたほどではなかった。
 とは言え本作、今、現代のヒーロー映画で「国王」というキャラクターを使って何を物語るか、国を愛する・守るとはどういうことなのかと果敢に挑んでおり、そこがとても面白かった。ワカンダはヴィブラニウムの存在を秘密にし自国の中だけで使うことで、繁栄を保っていた。しかし諜報員として他諸国の紛争や困窮を知るナキアは、自国の利益を守るだけではだめだ、技術や資源を提供して世界が抱える困難の解決に取り組むべきではと訴える。ティ・チャラは歴代の王たちの方針に則り、自国の技術や資源を外に出すことには反対する。しかしキルモンガーの出現で、それが揺らいでいくのだ。キルモンガーのやり方は許されることではないが、彼の理念は実はナキアに近い。本作、ティ・チャラとキルモンガーが光と影になっているのではなく、ナキアとキルモンガーが光と影になっているようにも思えた。
 終盤でティ・チャラはあるスピーチをする。本作の物語は、このスピーチに説得力を持たせる為に紡がれてきたようなものだろう。このシーンが力を持っていれば、本作は成功なのだ。アメコミのヒーローである「国王」(そもそも正式な手続きに則って就任すれば正しい王と言えるのか?という要素も本作には含まれている。ワカンダの伝統的な王位継承システムは「王位継承者はそれなりに有能で倫理的」という大前提に基づいてるよね・・・)にこのスピーチをさせることに、本作の矜持が見られると思う。

ブラックパンサー・ザ・アルバム
オムニバス
ユニバーサル ミュージック
2018-02-28


ブラックパンサー (ShoPro Books)
レジナルド・ハドリン
小学館集英社プロダクション
2016-04-20



『プルーストと過ごす夏』

アントワーヌ・コンパニョン、ジュリア・クリステヴァ他著、國分俊宏訳
プルーストの『失われた時を求めて』を、8人の筆者がそれぞれの切り口で解説する。テーマは個々の登場人物であったり、時間であったり、芸術であったりと様々。
8人はいずれもプルーストの熱心な読者で、研究書の出版や映像作品の製作を手掛けたいわば手練れだが、意外なほど読みやすく平易な書き方になっている。本作に掲載された内容は、元々、ラジオ番組(「~と過ごす夏」という教養番組シリーズがあるそうだ)の為の講演内容だそうで、間口は広く設定してある。プルーストというとどうも敷居が高いし、そもそも『失われた時を求めて』を完読したわけでもないし・・・としり込みしていたが、本作はむしろまだ読んでいないけどちょっと興味があるという人、今読んでいる途中だという人にお勧めしたくなる。『失われた~』の研究、批評というよりも、この作品にはこういう魅力がありますよ、プルーストはこういう意図を込めているんですよというナビゲーションとして機能している。私は『失われた~』は光文社古典新訳文庫で読んでいる為に、まだ読みかけなのだが、早く続きを読みたくなった。プルーストがちょっと身近に感じられる。特にプルーストの読書についての言及は、深く納得がいくもの。彼は読者、鑑賞者としても優れていたんだろうなとわかるのだ。

プルーストと過ごす夏
アントワーヌ・コンパニョン
光文社
2017-02-16


『プラージュ』

誉田哲也著
 たった一度、魔が差したせいで薬物に手を出し、仕事も住む場所も失った元サラリーマンの貴生。怪しい不動産屋から紹介されたのは、「プラージュ」というシェアハウスだった。住人達は皆個性が強く、貴生同様に訳ありらしい。家主の潤子が1階で営むカフェを手伝いつつ、人生をやりなおそうとする貴生だが。
 貴生視点のパートが比較的多いものの、プラージュの住人達それぞれの視点が入れ替わる群像劇と言った方がいいかもしれない。その視点変更する構成を使ったミステリも仕込んであるのだが、これは正直中途半端かなぁ・・・。こういう仕掛けがあった方がよかろうと、無理矢理ねじ込んだ感じがする。やるならもっと徹底してやってほしい。住民の中では貴生が一番アクがなく、良くも悪くも普通の人なのだが、こういう人でも何かの歯車がずれると、人生とんでもないことになってしまうという生々しさはある。誰にでも起こりうることなのだ。そして、人生のレールは一度外れると軌道修正するのは至難の業であり、過去の過ちはレッテルとしてずっと剥がれない。だから脛に傷持つ人に対してもう少しフラットな姿勢があってもいいのではという希望、とは言えやってしまったことはなかったことにならない、その上でどうやりなおしていくのかだという決意がシェアハウスを支えている。ただ、この希望と決意の物語化がわりと典型的なので、あまり深みのある味わいにはなっていない。さらっと読むように書いたのかなという雰囲気。ドラマ化されたそうだが、そのさほど深くはない所がアレンジしやすくて映像化素材に向いているのかも

プラージュ (幻冬舎文庫)
誉田 哲也
幻冬舎
2017-06-28


豆の上で眠る (新潮文庫)
湊 かなえ
新潮社
2017-06-28

『ブラインド・マッサージ』

畢飛宇著、飯塚容訳
 南京の「沙宗琪マッサージセンター」は、親友同士の沙復明と張宗琪が共同出資して開いたマッサージ店。2人の店長も他のマッサージ師たちも盲目で、店の中では盲人の社会がつくられていた。ある日、沙復明のかつての同級生・王が恋人・小孔を連れ職を求めてやってきた。王は株で失敗して開業資金を失い、小孔は恋人の存在を家族に言えず、駆け落ち同然だった。
 私は本作を原作にしたロウ・イエ監督の同名映画(とてもいい)を先に見ていたので、映画はここのアレンジを変えていたのかとか、実際はこのパートが結構長かったのか等、映画と比較しながら読んだのだが、本作自体がとてもいい小説だ。盲人の世界の描写の細やかさ、彼らの形成している「社会」のあり方は小説の方がよりくっきりと立ち上がってくる。マッサージ師たちの間での感情のベクトル、微妙なパワーバランスの危うさは、限定された人間関係の中では起こりがちなもので、温かみがあると同時に人間関係の狭さと偏狭さによる息苦しさを感じる。人間関係の厄介さ、羨望や嫉妬はどこの国であれどんな人であれ同じなのだ。映画と同様に強く印象を残したのは、王の弟の借金を巡る振る舞い。長男の難儀さがのしかかってくる。また、この騒動にけりをつける行動がとんでもないのだが、それが彼の誇りによるものだという所に、彼が今まで何を我慢して何を支えに生きてきたのかが露わになり痛切だ。一人の人間としての誇りであり、盲人としての誇りでもある。本作は、登場人物それぞれの「訳あり」な部分や狡猾さや衝動を描く一方で、それぞれの誇りにも度々言及する。人は何に依って立つのかという部分がそこから垣間見えるのだ。それにしても借金騒動の顛末、これで王は少し自由になれたのではとも思えるが、弟がけろっとしている所がまた腹立つんだよなー。どこの世界にも無自覚なクズっているよな・・・。


かつては岸 (エクス・リブリス)
ポール ユーン
白水社
2014-06-25



『フロスト始末(上、下)』

R・D・ウィングフィールド著、芹澤恵訳
 相変わらず人手不足であえぐデントン署。フロスト警部は少女の失踪事件、強姦事件、スーパーマーケットへの脅迫事件にバラバラ死体と、厄介な事件を次々と背負いこんでいた。一方、マレット署長は新たに着任したスキナー主任警部と組み、フロストを他所の署に移動させ厄介払いしようと画策していた。
 上下巻のボリュームだが滅法面白く、特に下巻に入ると一気に読みきってしまった。著者の急逝により、シリーズ最終作となった本作。フロスト警部は相変わらず下品だしだらしないしセクハラ発言は多いし、経費の水増し請求がバレて大変なことになる。ぱっと見ダメ人間的な振舞だが、実際の所仕事熱心で、ぼやきつつも大変なハードワーカー(むしろワーカホリックの傾向が強い)であるのも相変わらずだ。欠点が多い割に部下や同僚からは愛されているっぽいのは、彼には(マレットやスキナーと異なり)部下を思いやり彼らに対する責任は負うという姿勢があり、何より警官としての矜持を持ち続けているからだろう。例え周囲が自分のミスを責めなくても、警官である自分が自分のことを許せない、だから踏ん張り続けるのだという筋の通し方にはやはりぐっとくる。今回、フロスト警部は少々センチメンタルで、亡くなった妻のことを何度も回想する。フロスト夫妻の心が離れていく過程は、ありがちな話ではあるのだがだからこそやるせない。対称的にデントン署が今回抱える事件は陰惨な色が濃く、やりきれない展開も。ことなかれ主義で事件の現場に関してはわれ関せずのマレットですら、絶句するような事態も起きる。泥沼状態の中であがき続けるフロスト警部とデントン署の面々の奮闘にエールを送りたくなる。続きがもう読めないというのは寂しい限り。

フロスト始末〈上〉 (創元推理文庫)
R・D・ウィングフィールド
東京創元社
2017-06-30

フロスト始末〈下〉 (創元推理文庫)
R・D・ウィングフィールド
東京創元社
2017-06-30

『服従』

ミシェル・ウェルベック著、大塚桃訳
2022年の大統領選を控え、投票所テロが起こり報道管制がしかれたフランス。極右国民戦線のマリー・ルペンを破って当選したのは穏健イスラーム政権だった。ユイスマンスの研究者である大学教授の「ぼく」は学長が変わったことで退職をよぎなくされる。
イスラーム政権がフランスで誕生するというなかなか思い切った設定だが、イスラーム政権による政治そのものというよりも、政権が、政治が大きく変化していくのに、国民であるはずの自分が当事者のような気がせず、妙だと思ってもなんとなく変化を見過ごしてしまう、そして受け入れてしまうという無気力感に強い現代性を感じた。今現在のフランス大統領選が引き合いに出され再注目されている作品だが、むしろ今の日本の空気感に通ずるものがある。「ぼく」は自他共に認めるインテリではあるが、自分の知力(と言ってもこの人あまり頭良くない感じなんだけど・・・)でこの世界に太刀打ちできるという手ごたえは全く感じていないようだし、詭弁のような説得にもなんとなく流されてしまう。自分で考えることにもう疲れてしまっているようでもある。国内情勢の変化が彼の年齢上の変化、いわゆる中年の危機と重なっているのも一因か。ゆらぎながら手探りを続けるよりも「服従」してしまった方が楽なのだ。ただ、彼が流されっぱなしなのは、彼が男性だからというのも大きな要因だろう。新しい政府の方針の上では、男性である彼は改宗さえすれば、ぱっと見大きな不利益を被ることがない。「ぼく」がずっと気にしているのは自分の下半身事情だもんな・・・。自分が損をすることがなければ(他の立場の人が不当に扱われたり不利益を被ったりしても)それまでの主義主張は結構簡単に手放してしまうものだというところに、いやーな気持ちになる。そしてウェルベックは相変わらずいけすかないインテリ男の造形が上手いなー。ちょいちょいぶん殴りたくなるタイプである。

『舞台』

西加奈子著
29歳の葉太は、初めて一人で海外旅行に出た。行先はニューヨーク。ガイドブックを暗記して準備万端のはずが、初日に盗難に遭い、財布もパスポートも無くしてしまう。しかし葉太は「初日に盗難」というかっこわるさに耐えられず、警察にも大使館にも届けを出さずにやりすごしてしまう。
こ、これが自意識モンスターか!イタさの裏読みをしすぎだよ!行くところまで行くとこうなるのか!葉太は太宰治の作品に強く共感するように、「道化」としての自分を自覚しすぎてしまう人。頭は悪くないしルックスもいいのに、それが全くプラスに働いていない。周囲にどう見られているのか、どういう自分であれば周囲に不快感を与えないのか気にしすぎてしまう。多分、周囲はそこまで彼のことを気にしていないんだろうけど、そういう問題じゃないんだろうなぁ。私は葉太に共感するところはほぼないのだが、読んでいるうちに、ここまでやらないと楽になれないのかと、段々彼が気の毒になってくる。「イタい」自分には死んでもなりたくないのに、その自意識十分にイタくなってるよ!一見要領いいように見えるんだろういけど、これはこれで、行き難くて大変そう。どういう方向性であれ、自意識との折り合いの付け方は常に厄介だ。

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