3つ数えて目をつぶれ

映画と本の感想のみを綴ります。特に映画。ご連絡はhoto5now★yahoo.co.jp(お手数ですが★を@に変えてください)まで。

諸々

2020年ベスト本

今年は在宅する時間が増え、映画館に行けない時期もあったので、自然と読書量が増えた。がっつりした読書が増えた年だった気がする。

1.『おれの眼を撃った男は死んだ』シャネル・ベンツ著、高山真由美訳
今年ぶっちぎりで文章スタイルがかっこよかったと同時にアメリカの、のみならずこの世の苦しみをかみしめた一冊。

2.『ラスト・ストーリーズ』ウィリアム・トレヴァー著、栩木伸明訳
正に匠の技。珠玉の遺作集。読む人によって様々な解釈ができる奥深さと小説としての仕掛けの巧みさ。

3.『掃除婦のための手引書』ルシア・ベルリン著、岸本佐知子訳
評判になったのも納得だしこういう作品が評判になる・売れるという所に希望を感じる。生きる苦しみとユーモアが表裏一体になっている。

4.『コックファイター』チャールズ・ウィルフォード著、齋藤浩太訳
ありがとう加瀬亮…(訳者あとがきをご一読ください)。

5.『蜜のように甘く』イーディス・パールマン著、古屋美登里訳
渋い。年齢を重ねることについて考えましたね。

6.『マーダーボット・ダイアリー(上、下)』マーサ・ウェルズ著、中原尚哉訳
今年読んだSF小説の中で一番面白かった。翻訳の勝利でもあると思う。あの一人称はなかなか思いつかないのでは。

子供の問題、親の問題、どちらも個人の人格・尊厳の問題になっていく。

伊藤野枝の生き方が自分本位で最高すぎるし文章にグルーヴ感がありすぎる。

日本の現代SF小説はここまで攻めてきているのか!と唸った。ただ女性登場人物の描写はいまだにこれ?って部分はあるが。皆少女が好きすぎるね。

10.『ローンガール・ハードボイルド』コートニー・サマーズ著、高山真由美訳
少女の戦いを描いたハードボイルドとして秀逸、かつあまりに過酷な「今」の手応えがある。

おれの眼を撃った男は死んだ
シャネル・ベンツ
東京創元社
2020-05-20


ラスト・ストーリーズ
トレヴァー,ウィリアム
国書刊行会
2020-08-09



コックファイター (海外文庫)
チャールズ・ウィルフォード
扶桑社
2020-04-30



蜜のように甘く
イーディス・パールマン
亜紀書房
2020-07-31


マーダーボット・ダイアリー 上 (創元SF文庫)
マーサ・ウェルズ
東京創元社
2019-12-11

マーダーボット・ダイアリー 下 (創元SF文庫)
マーサ・ウェルズ
東京創元社
2019-12-11


おやときどきこども
鳥羽和久
ナナロク社
2020-06-20



なめらかな世界と、その敵
伴名 練
早川書房
2019-08-20




2020年ベスト映画

新型コロナ感染拡大に伴い、世の中では新作映画の封切が順延に順延を重ね、個人的にも映画鑑賞がぐっと減った1年だった。配信でも鑑賞してみたけど、私にとっての「映画」はやっぱり映画館で見るやつなんだよね…。集中力がないので自宅だと1本連続して見通せないという性格の難点も痛感した。

こういうのが私にとっての映画体験なんだなと。光と影にしびれる。映画という体験に飢えに飢えた状況で鑑賞したので更にインパクトあった。

休憩込みでおおよそ9時間という一大映画体験。事実がフィクションより段違いで怖い。正直こういうのこそ配信した方がいい(映画館上映だと物理的に鑑賞できる人が限られすぎるからね…)と思うんだけど映画館でないと見通せなかったかもとも。

全てのショットが完成度高く美しい。映画における女性の人生の描き方がまた一歩前進した感あり。

こちらは男と男の絆とバチバチ。こういうふうにしか生きられない人の姿としても突き刺さる。

これもまたこういうふうにしか生きられなかった人の話でもある。才能と幸福が比例しない。

何を撮っても黒沢清。

邦画における女性映画の新機軸。愛より自由だ。

夢の中へ夢の中へ(行ってみたいとは思えないが)。

ダサ邦題かと思ったら意外と的を得ていたというイレギュラーパターン。

今年一番泣いた。


ドキュメンタリー作家 王兵
ポット出版プラス
2020-04-04


水の中のつぼみ [DVD]
ルイーズ・ブラシェール
ポニーキャニオン
2009-02-04


フォードvsフェラーリ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
トレイシー・レッツ
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
2020-12-02



スパイの妻 (講談社文庫)
行成薫
講談社
2020-05-15


おらおらでひとりいぐも (河出文庫)
若竹千佐子
河出書房新社
2020-06-26


ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 ブルーレイ&DVDセット(初回生産限定) [Blu-ray]
ルイ・ガレル
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2020-10-14


ジュディ 虹の彼方に [Blu-ray]
マイケル・ガンボン
ギャガ
2020-09-02


『2019年ベスト本』

 昨年は読書量も減った。というより自分の中で「読書」にカウントされない読書(ビジネス書とかね)をしないとならなかったりして辛かったんだよな…。でも読書会に参加することで面白い本をお勧めしてもらえるようになったのは良かった。

韓国小説の面白さに目覚めた1年だった。群像劇である本作は様々な人たちの人生の側面が切り取られ「今」が浮かび上がる。

これもまた群像劇(現代の多様性を表現するのには群像劇は都合がいいのかな)。「人類の英知」の限界に対する諦念を感じる。

私もおばちゃんに来てほしいし誰かにとってのおばちゃんになりたい。

異なる文化の間で生きるしんどさ、女性として生きるしんどさが突き刺さる。

特に軍人として訓練されたわけでもない「普通」の人たちがいかにホロコーストに加担したのか。倫理も善意も「慣れ」に負ける。

この瞬間、この角度から切るか!という職人の技。

文章の美しい人たちの共同作業は良いものですね…。自分にとって馴染み深い名前がぽろぽろ出てくるのもうれしかった。

働くとは奇妙なことなのだと思う。

マンソン・ファミリーの一員だった著者による手記。よくぞサバイブされた…と唸ってしまう。客観的になぜ自分を含む女性たちがあの集団にはまってしまったのか分析されている。

評判の戦争小説をようやく読んだ。軽妙で悲惨。評判通り面白い。

『2019年ベスト映画』

 今年は(多分)めっきり鑑賞本数が減った。現実が襲ってきて辛い…。そんな中勇気づけてくれた映画ベスト10。

愛から始まり仁義に終わる男と女。現代中国の世相の移り変わりを背景としたメロドラマ。

子供と青年が喪失の悲しみとどのように向き合い受容していくのか。珠玉の1作。

家族の物語であり、現代の労働の姿を描いた作品でもある。そもそも2つは地続きなのだ。

これもまた労働の話でもある。ささやかな幸せとその儚さ。

それは堂々と「怒っていい」ことだった!と気付く瞬間が鮮やか。夫との関係の描写もとてもよかった。

日本のマスコミ関係者の皆様はぜひご覧になって…。

悪い奴ほどよく眠る。

エルトン・ジョンのファンというわけではないが音楽映画として素晴らしかった。

デザインが素晴らしいアニメーション。寒さは人類の敵…

フランスの看護学校を舞台に、看護師の卵たちを追うドキュメンタリー。

『2018年ベスト映画』

事実を元にした、実際にあった事件を背景にしたフィクション映画が妙に多い年だった気がする。今年も良く見ました。

1人で戦いに赴くビリー・ジーンの姿、そして試合後の姿が目に焼き付く。彼女の闘いは今に繋がっているのだ。また、ビリー・ジーンとマリリンがドライブしているシーンでの恋愛の高揚感が素晴らしかった。

「報道の自由を守る方法は一つ、報道し続けることだ」という言葉が刺さる。正に今年見るべき映画。スピルバーグ監督による王道の「面白娯楽映画」でもある。

トーニャと彼女を巡る人々の話は「藪の中」だが彼女の語りに引き込まれた。編集が見事。フィギュアスケートという競技のいびつさを垣間見た感もある。

とっちらかっている、というか登場人物の向かう方向が各々バラバラなのにまとまりがよい脚本の力。人間のいびつさと一様でなさが強烈だった。俳優が皆素晴らしい。

ジェレミー・レナーが名優だということを皆忘れないで・・・!アベンジャーズのあまり出てこない人というだけじゃないの!涙はおろか血まで凍りつきそうな極寒の僻地ノワール。地域性と一体になったミステリという部分が面白く、かつやりきれない。

こんなに恐ろしい恋愛映画あります・・・?何から何まで不穏。朝子のある種の正直さも、「世間」のルールを揺るがすという意味では不穏なのだ。すばらしい。tofubeatsによる音楽も良かった。

こちらもまた恋愛映画と言えるだろうが、よりプライベートな、恋愛という枠に嵌まりきらないものを描いているように思う。自分の宝物としてそっとしまっておきたくなる作品。

美しい恋愛映画だが私の中では夏休み映画としての側面が強い。この夏だからこそのキラキラ感と高揚感であり、来年の夏には再現できないし夏が終わればこの関係も終わるのだ。

男女の友情は普通に成立するよとさらっと見せている所がいいし、恋人との関係もそれぞれ独立しておりフェアな描写がよかった。経済的にも家庭環境も恵まれているとは言えないパティだが、自己肯定感がちゃんとあると思う。

爽やかでいい青春映画だった。心が洗われる・・・。レオナルドが自身のセクシャリティに気付いていく部分が面白かった。そこも含めての成長物語。ガブリエルが自分の不注意な言動にすぐ気付いて謝るところもいい。

バトル・オブ・ザ・セクシーズ 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]
エマ・ストーン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2018-12-05





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メリル・ストリープ
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2019-02-20



彼の見つめる先に [DVD]
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TCエンタテインメント
2018-12-07














『2018年ベスト本』

相変わらず今年の新刊よりも昨年、一昨年の新刊を読むことが多いのだが、本のいい所は待っていてくれる所だから・・・。

1.『ノーラ・ウェブスター』コルム・トビーン著、栩木 伸明
 自分はどのような人間か、1人の女性が再度掴み直していく様が、瑞々しくユーモアを交えて描かれていた。自分の子供時代と被るところもあり余計に刺さった。

2.『ふたつの人生』ウィリアム・トレヴァー著、栩木伸明訳
 奇しくも上位2作がアイルランドの小説で翻訳家が同じだった。あったかもしれない人生が胸をえぐってくる表題作にやられた。きつい・・・。

3.『ビューティフル・デイ』ジョナサン・エイムズ著、唐木田みゆき訳
 殺伐さを感じる域までそぎ落とされた文章のスタイルが大変好みだった。ストイックだがどこかしらユーモラスさも感じさせる。映画化された作品だが私は原作小説の方がコンパクトで好き。

4.『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』ケン・リュウ編、中原尚哉他訳
 中国SFきてるな!すごく勢いとセンスの良さを感じるバラエティに富んだアンソロジー。これは今後も期待してしまう。

5.『港の底』ジョゼフ・ミッチェル著、上野元美訳
 こんな文筆家がいたのか、と新鮮な気持ちになった。1940~50年代のNYで生きる労働者たちの姿を描いたエッセイ集だが、小説のような味わいがある。その時代の街とそこに住む人々の息吹が生き生きと感じられる。

6.『花殺し月の殺人 インディアン連続殺人とFBIの誕生』デイヴィッド・グラン著、倉田真木訳
 こんなとんでもない事件が実際にあったなんて・・・。読み進めるほどに愕然とする。ある条件や先入観があれば、人間はいくらでもひどいことをしてしまう。事件の根っこは未だに深く根絶されてはいない。大変な力作ルポ。

7.『傍らにいた人』堀江敏幸著
 今年は新刊ラッシュだった著者だが、主に文学者や小説の作中の人物にスポットを当てた本作が一番読み応えがあった。優れた文学批評でもあり、取り上げられている作品を読みたくなる。

8.『IQ』ジョー・イデ著、熊谷千寿訳
 私にとって今年一番のキャラクター小説。クールかつ生真面目なIQことアイゼイアと、トラブルメーカーで俺様体質だがどこか憎めないドットソンの不協和音。続編あるようなので楽しみにしている。

9.『オンブレ』エルモア・レナード著、村上春樹訳
 表題作よりも『3時10分ユマ行き』を推したい。映画化された作品(『3時10分、決断の時』ジェームズ・マンゴールド監督)が私は大好きでですね・・・。

 帰ってきた探偵・沢崎、そして原尞先生。私にとって今年最大のイベントだったからね・・・。




ビューティフル・デイ (ハヤカワ文庫NV)
ジョナサン エイムズ
早川書房
2018-05-19









港の底 (ジョゼフ・ミッチェル作品集)
ジョゼフ ミッチェル
柏書房
2017-11-01



傍らにいた人
堀江 敏幸
日本経済新聞出版社
2018-11-02


IQ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ジョー イデ
早川書房
2018-06-19


オンブレ (新潮文庫)
エルモア レナード
新潮社
2018-01-27


それまでの明日
原 りょう
早川書房
2018-02-28



『2017年ベスト本』

 映画の観賞本数が徐々に減るのと同時に、読書のスピードも下がってきた。これが加齢ということか。しかし、古典文学の面白さがちょっとづつわかってきたような気がする。そりゃあ生き残っているだけのことはあるよな!ベストには殆ど入れなかったけど(笑)、すこしずつ読み続けたい。なお以下の順位は限りなく順不同。

1.『夜の果て、東へ』ビル・ビバリー著、熊谷千寿訳
ノワール的、ビルドゥクスロマン的でありロードノベルでもある。デビュー作でこのクオリティか!という衝撃。とても好きなタイプの小説。

2.『フロスト始末(上、下)』R・D・ウイングフィールド著、芹澤惠訳
著者の死亡によりシリーズ最後の作品になってしまった。寂しい。

3.『その犬の歩むところ』ボストン・テラン著、田口俊樹訳
犬を通して描くアメリカの神話とでも言えばいいのか。一歩間違うと地獄めぐりになりそうなところ、ちゃんと希望を描くのが良い。

4.『シャム双子の秘密』エラリー・クイーン著、越前敏弥・北田恵理子訳
私、本作でクイーンが何を意図していたのかがやっとわかりましたよ!そしてなぜ名作本格ミステリなのか理解した!新訳ってやっぱり必要ねー。

5.『その雪と血を』ジョー・ネスボ著、鈴木恵訳
センチメンタルなノワール。夢なんて見るものじゃないのかもしれない。

6.『リラとわたし ナポリの物語Ⅰ』エレナ・フェッランテ著、飯田亮介訳
同性に対する憧れ、友情、そして羨望ともしかすると憎しみ。続編が楽しみ。

7.『コードネーム・ヴェリティ』エリザベス・ウェイン著、吉澤康子訳
これもまた女性同士の絆を描く作品だが、時代に翻弄される人たちのきらめきと必死さが胸を打つ。最後の「キスしてくれ、ハーディ」に泣く。

8.『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』ジェイムズ・リー・バンクス著、濱野大道訳
ある職業の仕事のやり方や暮らし方を記したノンフィクションであると同時に、著者個人の物語になっている点がとても面白かった。

9.『灯台へ』ヴァージニア・ウルフ著、御輿哲也訳
なるほどウルフは面白い!時間の圧縮・膨張のふり幅と、意外とこんな人現代でもいそうだという人物造形の細やかさ、女性たちへのまなざしに引き込まれた。

10.『おばあさん』ボジェナ・ニェムツォヴォー著、栗栖継訳
本作、私の母が子供頃に読んで好きだった作品をもう一度読みたいというので、題名も著者名もわからないままおぼろげな情報をたどり、ようやく入手に至ったという1冊。なので、作品の内容というよりも謎の作品の正体がやっとわかったぞー!という達成感のインパクト(笑)。こういう事情でもないと存在にすら気付かないままだった作品だけど、自然描写が美しく、意外と現代的な所もあり面白かった。



フロスト始末〈上〉 (創元推理文庫)
R・D・ウィングフィールド
東京創元社
2017-06-30


フロスト始末〈下〉 (創元推理文庫)
R・D・ウィングフィールド
東京創元社
2017-06-30


その犬の歩むところ (文春文庫)
ボストン テラン
文藝春秋
2017-06-08


シャム双子の秘密 (角川文庫)
エラリー・クイーン
KADOKAWA/角川書店
2014-10-25






コードネーム・ヴェリティ (創元推理文庫)
エリザベス・ウェイン
東京創元社
2017-03-18


羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季
ジェイムズ リーバンクス
早川書房
2017-01-24


灯台へ (岩波文庫)
ヴァージニア ウルフ
岩波書店
2004-12-16


おばあさん (岩波文庫 赤 772-1)
ニェムツォヴァー
岩波書店
1971-09-16





『2017年ベスト映画』

 今年は世の中の出来事にしろプライベートにしろ、色々と辛くげんなりすることが多かったのだが、そんな中でもやっぱり映画は面白いし、なんだかんだでいい映画がまだまだあるなと思った1年だった。映画は時代を写す鏡だと実感した作品も多かった。

1.『パターソン』
どうということない毎日の連続に見えても、1日1日はそれぞれ違い、違った美しさをその都度見せる。ジム・ジャームッシュ監督による人生賛歌、そして表現者としての意思表明と言ってもいいのでは

2.『わたしは、ダニエル・ブレイク』
ケン・ローチが怒ってる!わたし(たち)も、ダニエル・ブレイクなのだ。正に今見るべき作品。フードバンクのシーンが本当に辛くてなぁ・・・

3.『ムーンライト』
1人の少年の人生の変遷。ある人物の振る舞いが、他人への思いやり、優しさとはこういうものかと胸に迫ってきた。なかなかこういうふうには出来ないよ。

4.『ラビング 愛という名のふたり』
本作もまた思いやり、そして愛のあり方と人間の尊厳を守る為の闘いの物語。やはり、なかなかこういうふうには出来ない境地。染みる。

5.『立ち去った女』
とにかくモノクロのビジュアルがかっこいい。228分という長尺が苦に感じられない強度。フィリピン映画界すごいことになってるんだな。

6.『沈黙 サイレンス』
信仰とは何か問う大変な力作。マーティン・スコセッシ監督作品の中では一番心揺さぶられた(私はスコセッシ監督作基本的に苦手なんで・・・)。俳優が皆熱演でキャスティングの妙もあり。浅野忠信が良かった。

7.『スパイダーマン ホームカミング』
今年No.1の青春映画、そして「今」学園ものをやるとこうなるという良い一例だったと思う。「皆の隣人」としての新たなスパイダーマンの今後の活躍に期待。

8.『20センチュリー・ウーマン』
世代の違う3人の女性、それぞれの生きる姿がいとおしい。時代の間を感じさせる。

9.『夜は短し歩けよ乙女』
アニメーションという表現方法のチャーミングさを目いっぱい詰め込んだ快作。

10.『ありがとう、トニ・エルドマン』
まさか爆笑するようなシーンがある作品だと思わなかったので、ほんとびっくりしましたよ・・・

パターソン [Blu-ray]
アダム・ドライバー
バップ
2018-03-07


わたしは、ダニエル・ブレイク [DVD]
デイヴ・ジョーンズ
バップ
2017-09-06


ムーンライト スタンダード・エディション [Blu-ray]
トレヴァンテ・ローズ
TCエンタテインメント
2017-09-15


ラビング 愛という名前のふたり [DVD]
ジョエル・エドガートン
ギャガ
2017-09-15


沈黙-サイレンス- [Blu-ray]
アンドリュー・ガーフィールド
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2017-08-02




20 センチュリー・ウーマン [DVD]
アネット・ベニング
バップ
2017-12-06




ありがとう、トニ・エルドマン [DVD]
ペーター・ジモニシェック
Happinet
2018-01-06


『2016年ベスト本』

相変わらず今年も新刊はあまり読めなかった。SF小説に少し慣れてきたので、もうちょっと読もうと思っている。

1.カーソン・マッカラーズ著、村上春樹訳『結婚式のメンバー』
新潮文庫の「村上・柴田翻訳堂」はいいシリーズだが、その中でも最も心抉られた作品だった。10代の頃に読まなくてよかった(笑)

2.ジェイムズ・エルロイ著、佐々田雅子訳『背信の都』
真珠湾攻撃前後のアメリカが舞台なのだが、むしろ現代のアメリカの姿が立ちあがってくることに震える。

3.『クィア短編小説集 名付けえぬ欲望の物語』
サブタイトルの通り、様々な形の名付けえぬ欲望が垣間見え、裾野が広いアンソロジー。カテゴライズしにくいものを集めた面白さがある。

4.ロバート・エイクマン著、今本渉訳『奥の部屋』
エイクマンの作品は初めて読んだのだが、じわじわ怖い。ホラー苦手な私でも大丈夫なタイプの怖さ。ちょっと黒沢清の映画っぽいかも。

5.アンディ・ウィアー著、小野田和子訳『火星の人』
深刻なのにユーモラス!オプティミズムに裏打ちされた、知恵と勇気の物語。そして科学の知識大切。

6.アン・ウォームズリー著、向井和美訳『プリズン・ブック・クラブ』
刑務所での読書会運営に携わった著者によるルポ。読書は1人でやることだと思っていたが、グループで読むからわかることもある。

7.堀江敏幸著『その姿の消し方』
自分とは時代も場所も違う、全く無関係なはずの人たちとの縁ができていくようでもあった。

8.アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ著、ヘレンハルメ美穂 羽根由訳『熊と踊れ(上下)』
血のしがらみ、暴力の記憶と継承。面白いが恐ろしく悲しい。

9.ピエール・ルメートル著、橘明美訳『傷だらけのカミーユ』
本年度一気読み大賞。カミーユ三部作完結編だが、ほんとに傷だらけ!辛い!

10.長嶋有『三の隣は五号室』
40年に渡る人々の生活の記録という側面もあるのだが、読んでいる間はあまりそれを意識しない。しかしはっと、生きている人たち1人1人の生活の積み重ねが40年を作っていると気づく。

2016年ベスト映画

今年も色々映画を見たが、以前よりも本数はこなせなくなってきているなと実感する。それでもやはり映画は面白いし幅広く見たいなとは思っている。

1.『ダゲレオタイプの女』
今年は『クリーピー』もあり黒沢清イヤーであった。生者と死者の交わり合いと断絶を描く理想の幽霊譚。どの国で、どのキャストで映画撮っても黒沢清は黒沢清に他ならない。

2.『ヴィオレット ある作家の肖像』
本作が日本公開された2015年のベストに入れるべきだったんだろうが、年明けてようやく見られた。1人の女性が自分自身として生きるようとすること、表現することの切実さが迫ってくる。

3.『キャロル』
これもまた女性たちが自分自身を生きようとする物語。たとえそれが世間から望まれないものだとしても。色調、質感が素晴らしく美しい。8.

4.『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
こなさなければならない材料がてんこ盛りだが見事に調理するルッソ兄弟の手腕に唸る、アメコミ映画の極北。アベンジャーズの続編的でありつつ、最終的にはスティーブ・ロジャースという人の物語に着地していく。しかしスタークは気の毒でしたね・・・。

5.『ブルックリン』
原作も良かったのだが、映画の方がより現代に通ずるものがある。1人の女性が自分の居場所を選びとっていく様が瑞々しい。

6.『スポットライト 世紀のスクープ』
報道とは、職業倫理とは、ひいては人を信じることとはと問いかけてくる、今だからこそ見たい作品。

7.『団地』
終わっていく場所としての団地、そしてそこから通じる異空間!阪本順治の快作であり怪作。

8.『この世界の片隅に』
メインストリームではないが時代を越えて残る作品だと思うし、そこにこそこの作品が作られた意味があると思う。

9.『コップ・カー』
スタンドバイミー的な世界からホラーへ、そして一気にハードボイルドな世界に突入するラストに痺れた。

10.『母の残像』
私は家族を扱った映画が好きなのだが、今年見た家族映画の中では、不在の母が中心にある本作が一番良かった。


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