2023年は私にしては新刊を割と読んだ年だった。映画鑑賞本数が減った分新刊本に時間と予算を割くようになったということか。
1.『アロエ』キャサリン・マンフィールド著、宗洋訳
日本初翻訳だそうでありがたい。100年以上前の作品にこんなに子供の頃の感覚を呼び覚まされるとは。
2.『水車小屋のネネ』津村記久子著
他人と生きることへの希望が感じられる。
3.『本屋で待つ』佐藤友則、島田潤一郎著
待つとはそういう意味だったかと、その力に震えた。
4.『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』古賀及子著
これもまた他人(という名の家族)と生きることへの希望を感じさせる。感性の切れの良さと率直さ。
5.『潜水鐘に乗って』ルーシー・ウッド著、木下淳子訳
美しくてユーモラスで寂しい。
6.『遠きにありて、ウルは遅れるだろう』ペ・スア著、齋藤真理子訳
遠くに連れていかれる、かつ円環を感じさせる作品。
7.『破果』ク・ビョンモ著、小山内園子訳
おばあちゃんハードボイルド。ただし慈愛はない。
8.『頬に哀しみを刻め』S・A・コスビー著、加賀山卓朗訳
落とし前のつかないことに落とし前をつけるには。
9.『ルクレツィアの肖像』マギー・オファーレル著、小竹由美子訳
彼らの知らない彼女のこと。
10.『メグレと若い女の死』ジョルジュ・シムノン著、平岡敦訳
新訳実にありがたい。これもまた、彼らの知らなかった彼女の物語。