相沢沙呼著
推理作家の香月史郎は、霊媒・城塚翡翠と知り合う。城塚は死者を見ることができ、更に死者が死んだ現場で彼らを憑依させ死ぬ瞬間の記憶を体感することができると言う。彼女の心霊能力と香月の論理を駆使し、2人は様々な殺人事件の真相に迫る。
連作集であり、個々の事件の間に大きな連続殺人事件が横たわるという構成。個々の事件はオカルト要素と論理的なミステリとの兼ね合いがなかなかうまく面白い。しかし城塚翡翠という若い女性の造形が、今時こんなあざといキャラ造形やります?大分感覚が古いのでは…と思っていたらそうきたか!シリーズ3作目まで出ているしドラマ化もされているので今更なのだが、これは予備知識ないまま読むとあっと言わされる面白さ。テンプレ化していたものをそういう風に使う段階になってきたんだなと実感した。相当力業のダイナミック伏線回収だが、けれんにてらいがなく見事。