レイフ・GW・ペーション著、久山葉子訳
ベックストレーム警部と同じアパートに住む10歳の少年エドウィンが、夏のキャンプ地で人間の頭蓋骨を発見した。骨はアジア系の女性で死後数年が経過していると思われる。しかし、骨のDNA情報が12年前にタイの津波で死亡した女性のものと一致する。津波で死んだ女性の遺体は既に埋葬されているという。人間は二度死ぬことができるのか?
ベックストレームシリーズ4作目。あいかわらずいい加減だし助平だし金には汚いし女性差別・外国人差別をナチュラルに発揮するし、警察官としてはもちろん人としてどうなのというベックストレーム。しかしどうも憎めない。今回は少年エドウィンとの交流が増えているのだが、元々子供嫌いだったはずのベックストレームなのに、結構クセの強い子供であるエドウィンにはどこか優しいし、まだ子供であるエドウィンに危険が迫ると率直に怒る(将来の従者候補確保という面も大きそうだが…)。ベックストレームを尊敬しているくらいだからエドウィンも大分変っているのだが。
ベックストレームが無茶苦茶なのは相変わらずだが、彼の部下たちも結構無茶苦茶だということも、シリーズが進むにつれて露呈していく。それでもちゃんと捜査が進むからすごいのだ、今回はベックストレームの右腕的なアニカのご乱心にあっけにとられた。それをやってしまうの?!いいの?!やることをやってけろっと一緒に仕事しているあたりがなんだかすごいのだが。