向井和美著
全員が同じ本を読んでその感想を語り合う読書会に、30年以上参加してきた著者が、読書会とはどのような行為か、その主催・運営の仕方の案内や、色々な読書会の体験レポート、そして読書がもたらすものについて綴る。
著者はメリカの刑務所の中で行われる読書会を取材したノンフィクション『プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』(アン・ウォームズリー著)の翻訳者なのだが、正にその「ブック・クラブ」=読書会に関する著作が出るとは。本著の帯には「わたしがこれまで人を殺さずにいられたのは、本があったから、そして読書会があったからだと言ってもよいかもしれない」という強烈な一文が掲載されている。この言葉は全く大げさではないと思う。本を読むこと、本について語りあうことで救われる人は確実にいる。私もその1人だ。私は人付き合いがすごく苦手なのだが、読書会だとそれほど臆さず会話を楽しめるんですよね。主催者の皆様、参加者の皆様ありがとう…
本を読む(ここでいう「読む」にはビジネス書や自己啓発等の実用書は含まない)こと、本について語り合うことは自分の、そして対話相手の魂の深い所に触れることでもあると思う。そういう会話は日常生活の中ではなかなかする機会がない。お互いの距離を保ったまま深い話ができる、読書会という場に救いを感じる人は多いのではないかと思う。読書会といっても取り上げる本の傾向や、参加者の年代や属性によって方針は様々だろう。それでも皆読書が好きという共通項はある。課題本から他の本へ、また本以外の話題へ(これは懇親会等でやった方がいいだろうけど)と話題が広がっていくのも楽しい。