3つ数えて目をつぶれ

映画と本の感想のみを綴ります。

『卒業生には向かない真実』

ホリー・ジャクソン著、服部京子訳
 大学入学を控えたピップは、彼女がポッドキャストで糾弾した青年に訴えられていた。弁護士は調停に応じた方がいいと言うがピップは納得できない。更に無言電話や匿名のメール、更に自宅前に首を切った鳩の死体が置かれる等、ストーキングにあっていた。ストーキングの内容が6年前の連続殺人事件の被害者に起きたことと似ていると気付いたピップは、さっそく調査に乗り出す。
 本の帯でも事前の広告でも「衝撃」が強調されていたが、これは確かに衝撃。中盤で小説のジャンルが変わるレベルのとんでもないことが起きる。序盤からピップのメンタルの状態があまりよくなく薬が手放せない等はらはらさせられる要素がかなり多いのだが、それを越える衝撃だ。本作は3部作の完結編だが、1作目からこの展開が考えられていたのか気になるところだ。1作目、2作目のエピソードが伏線として機能しているので、ある程度は考えられていたのかなとは思うが…。何にせよ思い切りが良すぎる。
 ピップの人生は大変な方向に進んでしまうが、彼女が1作目からやってきたことの方向性が極まるとこうなってしまう、というのが非常に皮肉でもありやりきれない所だ。若さゆえのとか過剰な責任感という面もあるのだが、それ以上に現在の社会構造や司法のシステムが彼女にそのように思わせてしまうという面の方が大きい。これは大人の側の問題じゃないですか…。振り返ると、ピップやラヴィの両親のようにしっかりとした愛情あふれる大人もおり、子供との信頼関係はあるものの、社会システムとしての大人に対する信頼感があまりないシリーズだったかもしれない。


自由研究には向かない殺人 (創元推理文庫)
ホリー・ジャクソン
東京創元社
2021-08-24








『その昔、N市では』

マリー・ルイーゼ・カシュニッツ著、酒寄進一編訳
 ようやく帰ってきた夫は、暗がりの中で唐突に、妻に動物園の話を始める。妻はそこで誰かをずっと待っていたのではないかというのだ(「白熊」)。兄は妹を船旅に送り出すが、それは妹が乗る予定の船ではなかった。旅先の彼女から手紙が届くが、徐々に奇妙な内容になっていく(「船の話」)。N市では死体を蘇生した”灰色の者”を労働力として使っていたが、徐々に”灰色の者”の数は増えていき、ある日異常な出来事が起きる(「その昔、N市では」)。奇妙な味わいの短編集。
 幽霊譚のような、悪夢のような、どこか不穏で奇妙な味わいの作品ばかりだ。「白熊」は幽霊譚の一種だが残された側に強い不安感を与えていくし、「その昔、N市では」は現代の写し絵のようなディストピアとゾンビ映画をミックスしたような世界。読んだ後に不安な気持ちにさせられる、またどことなく落ち着かない怖さが残る。幻想的、超常現象的に不条理な怖さもあるのだが、それよりも人の心の隙間から生じた、生々しさをはらんだものの方が恐ろしい。幽霊って「死んだ人がそこにいる」こと以外は、実はそんなに怖くないんだな…。「ルピナス」の心が壊れる様、「六月半ばの真昼どき」のぎりぎりで破綻をすり抜ける感じ、また「長距離電話」や「いいですよ、わたしの天使」で剥き出しになる人間の欲と業の方がよっぽどホラーだ。

その昔、N市では カシュニッツ短編傑作選
マリー・ルイーゼ・カシュニッツ
東京創元社
2022-09-30


六月半ばの真昼どき―カシュニッツ短篇集
マリー・ルイーゼ カシュニッツ
めるくまーる
1994-01-20


『その丘が黄金ならば』

 C・パム ・ジャン著、藤井光訳
 ゴールドラッシュの熱も冷めつつあるアメリカ。炭鉱で暮らしていた12歳のルーシーと11歳のサムは、明け方に父が亡くなっていることに気付く。母親は数年前に姿を消しており、2人は孤児となった。父の亡骸を埋葬する場所を探すため、2人は広大な土地を彷徨う。
 ブッカー賞候補となり、オバマ元大統領も薦める一冊だそうだ。ルーシーとサムは中国系移民の子供だが、生まれ育ったのはアメリカであり、ルーツである中国の記憶はない。父ですら、しがみつくのは黄金が眠るアメリカの大地であり海の向こうの祖国ではないのだ。しかし周囲は彼らの外見からよそ者と見なし排除しようとする。このギャップ、特に移民2世のアイデンティティの問題は現代にいたるまで途絶えていないものだろう。このアメリカの土地に自分は根差しているはずなのに周囲がそれを否定する、結果的に根無し草のようになってしまう苦しさをルーシーたちは抱えているように思った。ただ、それが一種の突き抜けた解放感のようにも感じられる。サムがまとっているのはそういうものではないか。 
 それにしてもルーシーたち一家の関係性は苛烈だ。ルーシーとサムは父親と母親のこのような娘・息子がいればという思いに過剰に応えようとし、自分をすり減らしていくようにも見える。両親の思いは自分たちの果たせなかった夢を子供に投影しすぎているように思えた。家族の絆が呪いのように押しかかる。それでも親兄弟を愛さずにはいられない子供の姿が痛々しい。

その丘が黄金ならば
C・パム・ジャン
早川書房
2022-07-20



さすらう者たち (河出文庫)
リー,イーユン
河出書房新社
2016-09-06



『そして、よみがえる世界。』

西式豊著
 医療テック企業・SMEが開発した脳内インプラント「テレパス」によって介助用ロボットや仮想空間内のアバターの直接操作が可能になった未来。事故で脊髄を損傷しテレパスを使うようになった脳神経外科医の牧野は、記憶と視覚を失った少女エリカに視覚再建装置を埋め込む手術を依頼される。手術は成功したが、エリカは他の人には見えない黒い影の姿に脅かされるようになる。更にSME経営陣の一人が不審死を遂げる。
 第12回アガサ・クリスティー賞受賞作。本作、SFといえばSF、ミステリといえばミステリ、しかしどちらもそれほどコアではない(ように感じられるように書かれている)。エンターテイメントしてのサービス精神旺盛で、大変盛りだくさん。精緻な部分と大味な部分とのギャップが少々あるのだが、楽しみ方の間口を広くとった作品ではないかと思う。序盤の仮想空間の描写が少々まだるっこしいのだが、仮想空間のレイヤー設定や現実世界との繋がり方が順次開示されていくと、作品世界が段々広がって見えてくる。ただ、仮想空間のスポーツ描写やその中での登場人物たちの言動には、個人的には少々昔の漫画・アニメっぽいなぁという印象を受けたが…。SFとしてはどことなくレトロフューチャー風味を感じた。またミステリ要素は意外と律儀で、あれ?と思った所がちゃんと伏線になっていた。
 SF(本作がSFかどうかはさておき)にはヒューマニズムに軸足を置くものとヒューマニズムから遠のいていく(人間とは異なる知覚を想像していく)ものがあると個人的には考えているのだが、本作は一貫してヒューマニズムに軸足を置いている。人の世の話なのだ。身体障害者のサポート技術が大幅に発達し活動範囲が広がっている一方で、依然としてハードルは残る。同時に、それを何とか越えようとする人間の意志がある。作中のある技術、ある事件を引き起こすのも人の強烈な渇望だ。人の欲望が技術革新を起こし、それは(負の面をはらむとしても)人間の生を良くする、人間はそれを良く使いうるという基本的なスタンスが作品の根底にあり、そこに本作の訴求力があるのでは。

そして、よみがえる世界。
西式 豊
早川書房
2022-11-16


レディ・プレイヤー 1 [Blu-ray]
サイモン・ペッグ
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2018-12-19


 

『喪失の冬を刻む』

デイヴィッド・ヘスカ・ワンブリ・ワイデン著、吉野弘人訳
 ローズバッド居留地に住むラコタ族のヴァージルは、警察やFBIが取り合わない悪事を起こす人間を、依頼を受けて痛めつけるという処罰屋をしている。ある日、部族評議会議員のベンから、居住地内でヘロインをさばこうとしている男がいるから懲らしめてほしいと頼まれる。その男・リック・クロウを探すヴァージルだが、一方で甥のネイサンがヘロインの過剰摂取で倒れてしまう。
 主人公がアメリカ先住民であり舞台がその居留地という背景が、物語の要素として大きい。居留地がどのようなものか、また居留地内の犯罪は部族警察が対応するが人手は足りず、FBIは居留地内の犯罪には凡そ無関心という状況が描かれる。FBIが乗り出してくるのは、居留地の外にも影響を及ぼす麻薬組織の関与がわかってからだ。公的な機関が何もしてくれないので、ヴァージルのような何でも屋的存在に復讐・処罰の依頼が来ると言う、割とやりきれない状況なのだ。またヴァージルら先住民は未だに白人からの差別にさらされており、社会的な不均衡が崩せないから居留地から離れにくいこと、また先住民の間であっても部族間の差別意識や、混血に対する蔑みがあるということが描かれている。いわゆるアメリカのハードボイルド小説ではあまり目にしない(黒人やヒスパニックに対する差別は目にするが、先住民はあまり見ないように思う)事情なのが、こういう状況がそこに住む人たちの意欲を削いでいくことがわかってかなり辛い。
 ヴァージルは先住民ではあるが、自分のアイデンティティをその伝統の中に置けずにいる。部族の伝統が自分を救わなかった体験から、伝統的な儀式やしきたりには懐疑的なのだ。逆に元恋人のマリーは伝統を積極的に学び活かしていこうと一生懸命。故に2人は度々衝突する。ヴァージルのような人も、マリーのような人も多いのではないかなと思った。ある土地での事件を追うことと、ヴァージルやマリーが自身のアイデンティティを模索していく様とが重なっていく。なお杉江松恋による解説が作品を読む補助線となっており良い。アメリカ先住民族が探偵役のミステリの紹介も。

喪失の冬を刻む (ハヤカワ・ミステリ文庫)
デイヴィッド ヘスカ ワンブリ ワイデン
早川書房
2022-07-20


ウインド・リバー スペシャル・プライス [Blu-ray]
ジョン・バーンサル
Happinet
2021-03-03




『その少年は語れない』

ベン・H・ウィンタース著、上野元美訳
 事故によって負傷し頭を手術した少年ウェスは、感情の表現をしなくなり、寝ることも食べることもせずずっと歩き続けるという、奇妙な状態に陥る。両親は弁護士シェンクの説得により医療ミスとして病院を訴える。しかしウェスの事故から11年後、彼の父親リチャードが殺人罪で起訴されてしまう。シェンクは弁護を依頼され、自分の息子ルーベンを巻き込む。
 過去と現在を行き来しつつ、複数の登場人物の視点で裁判と事件を追うミステリ…なのだがちょっと奇妙な要素が投入されている。殺人事件の解明自体はロジカルなので、なぜそれを投入したのか謎。しかしそういうこともあるかもしれないな…と思わせる妙な説得力がある。著者のミステリの作劇において、この部分はどんな奇妙・荒唐無稽なものを入れ込んでも成立するという確信があるのかもしれない。
 本作のリアリティや情感を支えるのはそういうものではなく、むしろ親子の関係という非常にオーソドックスな要素だ。シェンクは息子をすごく愛してはいるが、大人・父親として頼りになるかと言うと微妙だし、弁護士としても3流だ。自分の仕事に息子を巻き込んで振り回すシェンクの振る舞いには苛立たされるし、ルービンも成長するにつれシェンクと距離をとるようになる。しかしかつて自分にとってヒーローだった父親との記憶は消えず、そこに引き戻されてしまうのだ。一方でウェスの母親は彼が元に戻るのではという希望を持ち続け、父親はそんな妻と子を見て苦しみ続ける。家族に対する思いの断念しがたさが物語の底辺に流れている。

その少年は語れない (ハヤカワ・ミステリ)
ベン H ウィンタース
早川書房
2022-08-03


地上最後の刑事
ベン H ウィンタース
早川書房
2014-02-21




『捜索者』

タナ・フレンチ著、北野寿美枝訳
 シカゴ警察を退職し、アイルランド西部の小さな村に移住したカル。家の修繕をしながら一人で暮らしていたが、地元の子供トレイから、姿を消した兄を探してほしいと頼まれる。村の住民たちは失踪の理由には心当たりがない、単なる家出ではと話すが、カルは釈然としなかった。
 よそ者としてやってきた男に対して、隣人も村の人たちも詮索好きで世話焼き。しかし徐々にほの暗い姿が見え隠れしてきて…という典型的田舎が怖い系のサスペンスに一見見えるし、確かにそういう側面はあるのだが、本作の凄みの肝はそこではないだろう。そういう場所であり、そこで何が起きたか知りつつもそこに居続けなくてはならない、またあえて留まり続けることを選択するという覚悟に凄みを感じるのだ。かなり地味で渋い凄みではあるのだが、カルが背負うものも、トレイが背負わせられるものもあまりに重い。それでもこの土地でやっていくしかないのだ。
 カルは元警官というだけで捜査の権限はないし、よそ者なので村の人間関係には疎く、うかつに周囲の協力を仰げない。一人でなんとかかんとか聞き込みを進めていくので、サスペンスとしてはかなり地味。しかしカルとトレイの関係の変化の仕方、更に、そこに重なってくるカルと娘の関係の変化の仕方の描き方がいい。カルが「大人」としての役割をもう一度やりなおす物語なのだ。舞台となるアイルランドの野山の描写も魅力。

捜索者 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
タナ フレンチ
早川書房
2022-04-20


葬送の庭 上 (集英社文庫)
タナ・フレンチ
集英社
2013-09-20


『捜査線上の夕映え』

有栖川有栖著
 大阪のマンションの一室で、鈍器で撲殺された男性の遺体が、スーツケースに詰められた状態で発見された。被害者は元ホスト。金銭貸借や異性関係でもめていた相手数名が容疑者として浮上するが、どの人も決め手にかける。大阪市警から相談を受け、火村とアリスは調査を開始する。
 舞台は新型コロナ感染拡大がやや下火になってきた夏の大阪、なので2020年。火村シリーズ誕生30年だそうだが、アリスも火村も堂々と変わらず34歳。長寿シリーズを書くにはこのくらいのずぶとさ、もとい割り切りが必要なのでしょうね。この調子でずっと続けていただきたいものです。
 それはさておき、相変わらず地道で足腰しっかりした本格ミステリ。仮説立てる、調査検証する、仮説崩れる、新たな仮説立てる(以下エンドレス)という作業を繰り返す。ともすると無味乾燥ぽいし決して文章が華麗というわけではない。が、本作のような物理的でロジカルな本格ミステリには、現象を端的に表現している文章が合っている(読者に内容が的確に伝わる)んだろうな。全体的に情感が濃いわけではないのだが、最後の最後に哀感が強くにじむ。ある人物が犯人の逮捕をそんなことはない何かの間違いだと憤るのだが、これはある人物の前では、犯人が見せたい自分であり続けられたということだったのでは。

捜査線上の夕映え 火村英生 (文春e-book)
有栖川 有栖
文藝春秋
2022-01-11






『象の旅』

ジョゼ・サラマーゴ著、木下眞穂訳
 1551年、ポルトガル国王ジョアン三世はオーストリア大公への結婚祝いとして、飼っている象を送ることにした。象と共にインドからやってきた象使いのスブッロは、象のソロモンに付き添い、警備隊に警護されながらリスボンを発ちウィーンを目指す。
 象がリスボンからウィーンに贈られたというのは史実だそうだ。それを知ったサラマーゴは興味を持って調べたものの、資料はほとんど得られなかったそうだ。なので本作は著者の想像の物語なわけだが、妙なリアリティがある。と言っても象一行の道中や当時の時代背景にリアリティがあるというよりも、象と共に徒歩で長旅をするという事態の奇妙さ、シュールさと、それに巻き込まれる人たちの悲喜こもごもや道中の上手くいかなさに、妙に説得力があるのだ。皆、巨大な動物を連れて延々と歩き続けるという異常さに気付いていますか!?大丈夫!?飼料は、水は足りるのか、象は雪に耐えることはできるのか、色々と心配になってしまう。思い通りにいかない道中に対する警備隊の隊長のぼやきや、彼とスブッロとの微妙な友情、またポルトガル国王やオーストリア大公の象に対する他人事感はユーモラスかつ皮肉だ。象のことなんて、スブッロ以外(いやスブッロも)本気では考えていない感じなのだ。ポルトガル王も王妃も象のことを貴重なものとして重んじ、異国の動物に対しての思いやりめいがことを言うが、きっとすぐに執着しなくなるだろう。
 本作、落語のようなホラ話的おかしみがあるのだが、同時にどこか物悲しい。その物悲しさはソロモンもスブッロも異国から強制的に連れてこられ、強制的にまた別の異国に移動させられる、故郷にはもう帰れない立場だからだろう。故郷を離れ、名前まで勝手に変えさせられる(変えさせる側の何と傲慢な!)。数奇な運命のはずなのに、その数奇さはおそらく忘れ去られるという侘しさがある。

象の旅
ジョゼ・サラマーゴ
書肆侃侃房
2021-10-06


 

『空とアメリカ文学』

石原剛編著
 航空大国アメリカ。大統領専用機エア・フォース・ワンが象徴するようにアメリカの航空・飛行に関わる文化的営為は、他の国と比較しても存在感がある。文学はその中で航空・飛行にどのような影響を受け、表現してきたのか。古典から現代文学まで10の論文から構成された、アメリカ文学の中に見られる航空文化のあり方。
 本著の序章で言及されて初めて意識したが、確かにアメリカの映画にしろ小説にしろ「飛行機で移動する」ないしは「飛行機を操縦する」ことが行為そのものプラスアルファの意味をはらむことが多いように思う。物理的に飛行機での移動が多い、産業として航空産業の存在感が大きいという経済活動に由来する部分も大きいのだろうが、空を飛ぶことへの憧れ、空という空間そのものに感じるロマンが他国と比較して強めなのかもしれない。飛行士個人がスター視されていた文化もそういう文化に根差したものだったのか。本著では気球の時代から「パンナム」が空を制し(のちに倒産するが)航空機大国になるまで、文学がどのように航空をとらえてきたかを央。アメリカ以外でもサン=テグジュペリについての章もあるのだが、英訳の『人間の大地』は題名も内容も原典とは一部異なる別バージョン(翻訳者と出版社の判断による)だったことは初めて知った。それはありなのか?という疑問はあるが、アメリカの読者が飛行機、飛行士が登場する文学に何を求めるか、という部分がわかるエピソードだと思う。サン=テグジュペリが意図したのは飛行機や飛行士そのものというよりそれに象徴される人間のあり方、哲学的なものだったが、アメリカの読者に求められたのはルポルタージュ的なものだったという。
 またアン・モロウ・リンドバーグの著作について言及された章もある。女性飛行士、かつ有名飛行士の妻である彼女に対する世間の目、評価は現代の「女性〇〇」「美人すぎる〇〇」と同じものであった(来日時のエピソードがあるのだが、日本かなりイタいな…)。今が当時とあまり変わっていないことにかなりがっかりするが、彼女の著作が今まで女性から愛読され続けてきた理由が垣間見えた。

空とアメリカ文学
石原 剛 編著
彩流社
2019-09-17


アメリカ文学史―駆動する物語の時空間
巽 孝之
慶應義塾大学出版会
2003-01-01


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