3つ数えて目をつぶれ

映画と本の感想のみを綴ります。特に映画。ご連絡はhoto5now★yahoo.co.jp(お手数ですが★を@に変えてください)まで。

『ゲイ短編小説集』

O.ワイルド他著、大橋洋一監訳
オスカー・ワイルド、ヘンリー・ジェイムズ、サキ、D.H.ロレンスら近代英米文学を代表する”ゲイ小説”を収録した中短編集。本著で言うところの”ゲイ小説”は、作家がゲイである、作品の主人公がゲイであることに限らない。自身の中の何かを隠し社会の中に溶け込もうとする態度、認めたくない自身の欲望、異なるものに対する恐怖、そしてホモフォビア等をはらむ作品を指しているのだろう。セクシャリティだけではなく、いわゆる「世間」とのずれ、またずれることへの忌避を描く際にゲイ的なものが都合よかったということもあるのかもしれない。ホモフォビアを描くD.H.ロレンス「プロシア士官」が最もガチでゲイ小説のように見えたのは皮肉だ。また、セクシャリティとはあまり関係ないが、ヘンリー・ジェイムズ「密林の野獣」には個人的にえぐられるものがあった。欲望を持てない人というのも一定数いるのではないかと思う。

『刑事たちの四十八時間』

アレックス・グレシアン著、谷泰子訳
英国中西部の炭鉱村で、幼い子供と両親が行方不明になった。スコットランド・ヤードのディ警部補とハマースミス巡査部長は地元の警官に請われて捜索に出向くが、猶予は2日間。しかも村では奇妙な病気が蔓延していた。発見された目玉や血痕のついたドレスは誰のものなのか。『刑事たちの3日間』に続くシリーズ2作目。前作はボリュームのある警察(といっても組織としてはまだ出来たてって感じだったけど)小説的だったが、本作は48時間というリミットもあって、ジェットコースターのようなスピード感あるサスペンス。村の因習や迷信といったオカルト的な雰囲気が目くらましとなり、寒さと雪にも捜査を邪魔される。それでも実直に捜査を続けるディとハマースミスが魅力的。特にハマースミスは、女性がつい長めに見てしまうくらいハンサム(笑)という設定なのだが、本人に全く自覚がなく身だしなみが下手(笑)かつクソ真面目というキャラの立ち方。悪気はないがトラブルメーカーな宿屋の主人や、何か訳知りらしい兄妹など、脇役の造形もいい。訳もこなれていて、生き生きとしており読みやすかった。

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