僕のマリ著
エッセイ集『常識のない喫茶店』でデビューした著者の第2作。前作の続編であり、著者が喫茶店勤務を卒業し文筆家として新しい生活に乗り出す様が綴られる。
『常識のない喫茶店』で鮮烈なデビューをした著者とのことだが、申し訳ないが『常識のない~』私読んでいないんですよね…。ただ前作を読んでいなくても大丈夫だった。転職し、結婚もし、人生の新しいステージに移った人の不安、高揚感、そして喫茶店の仕事にもこの先本業となる文筆業にも真摯であろうとする姿勢が瑞々しい。やはり新生活を始めようとする人にお勧めしてみたくなる1冊だった。本著のような日記エッセイが近年すごく増えたなという印象があるが、じゃあ似たような日記本のうちでどういうものが面白く感じられるのかというと、基本的な文章のスキル高低はもちろんあるのだろうが、何より正直かどうかという所ではないかと思う。日記と言えど他者に向けての表現として出版するわけだから当然何らかの演出・編集はされているわけだが、自分自身のコアな部分に対して正直かどうか、変な装いをしていないかどうかで振り分けている気がする。