元恋人の結婚式で知り合ったえっちゃん(花澤香菜)とあやさん(小松未可子)。男子高校の教師・澤先生(櫻井孝宏)と生徒の矢ヶ崎くん(山下城一郎)。幼馴染同士の中学生・しんちゃん(木戸衣吹)とみかちゃん(石原夏織)、しんちゃんの従姉で一時期同居していた小夜子(ファイルーズあい)。3組の人びとの恋心(らしきもの)を描くオムニバスアニメーション。原作は志村貴子の同名アンソロジー漫画。監督は佐藤卓哉。
原作に忠実なアニメ化という印象。志村作品はシーンとシーン、コマとコマの間の取り方、余白の使い方の上手さが特徴だと思うのだが、アニメーション化された本作でも間を詰めすぎないゆったりとした時間が流れる。ただ、原作の魅力、面白さを越えるものが何かあるかというと、ちょっと微妙。まあ原作通りで確実に面白いからそのまま置き換えるような映像化でも構わないんだけど、映像ならではの切り口が欲しかった気もする。アニメーションとしてはオーソドックス、悪く言うと凡庸な印象だった。特に人がほわ~っとした気分になった時の演出は、ちょっとダサいのでは…。微妙に古さを感じる。
ちょっと古さを感じるというと、しんちゃん・みかちゃん・小夜子のエピソードであるあ3,4話は、登場人物の行動が若干古い(原作は2002年~)かなと思った。作中の時代設定自体10数年くらい前(VHSが現役)だから実際に「古い」のだが。親族同士、好ましいお姉さんであっても子供(でなくても)に対してああいう接触の仕方はかなりまずいし、同年代同士のやりとりもちょっと暴力的(物理的にではなく、一方的だという意味で)。逆に、具体的に恋愛に発展しない、薄目のウキウキ感を自分の中のみで昇華する澤先生のエピソードの方が現代的かなと思った。子供のエピソードの方が性的なものの暴力性を感じさせる。