今井むつみ、秋田喜美共著
人間は言語がないと日常生活を送ることができない。人間社会を成立させるための必須アイテムである言語だが、そもそも言語はどのように発生し進化してきたのか。そして子供はどのように言葉を覚えるのか。言語の成り立ちと拡大を、オノマトペとアブダクション(仮説形成推論)を鍵として紐解いていく。
本著、内容は専門的だが結構売れているらしく意外だった。言語に興味を持つ人が多いのはやはり生きていくことと切っても切れない(音声言語にしろ手話にしろどういう形状の言語を使うかは様々だが)からだろうか。特にオノマトペの特質についての解説は興味深い。どこの国の言語にもオノマトペはあるが、互換性は薄い。ただ、特定の音が特定のイメージを思い起こさせるという作用はある程度被るところがある。言語が体の動きと連動したものであるということなのだろうが、こういう所から言語はどのように発生するのか、オノマトペを言語と言えるのはなぜか、という内容に展開していく。言語研究というのはこういう風に進めていくものなのか、こういう実験を行うのかという、片鱗を見た感じで新鮮だった。特に6章、7章あたりは、おお…人間頭いいな!と妙に感心してしまう。推論ができるというのはすごいことなんだな。