2019年、ミュージシャンの細野晴臣はデビュー50周年を迎えた。この年、ソロミュージシャンとして初のアメリカツアーを実施。その様子を収録したライブドキュメンタリー。監督は佐渡岳利。
すごく撮影がいいとか録音がいいとかいうわけではないのだが、ファンにとってはやはり楽しい。と同時に、2019年当時の熱気あふれる、もちろんマスクなしのライブハウスの様子を見ると、遠い昔のことのように感じられ、懐かしいというか寂しいというか…。2021年現在の細野やバンドメンバーのコメントが挿入されるのでなおさら当時とのギャップが強まる。題名の「SAYONARA」は、あの当時へのさよならのようにも思えてくる。いくら感染状況が好転しても、パンデミックを経験してしまった世界、人々の心理は元の通りに戻るわけではないだろう。
すごく撮影がいいとか録音がいいとかいうわけではないのだが、ファンにとってはやはり楽しい。と同時に、2019年当時の熱気あふれる、もちろんマスクなしのライブハウスの様子を見ると、遠い昔のことのように感じられ、懐かしいというか寂しいというか…。2021年現在の細野やバンドメンバーのコメントが挿入されるのでなおさら当時とのギャップが強まる。題名の「SAYONARA」は、あの当時へのさよならのようにも思えてくる。いくら感染状況が好転しても、パンデミックを経験してしまった世界、人々の心理は元の通りに戻るわけではないだろう。
細野が演奏するのは古いカントリーやブギウギのカバー、もしくはその影響を強く受けた自作だ。敗戦後まもなく生まれた細野は、GHQによってもたらされたアメリカ文化の恩恵を受けて、その良き部分を吸収して成長したと言えるだろう。今のアメリカの若者はカントリーもブギウギもそうそう聞かない人が多いのでは。巡り巡ってそういったバックボーンを持つ日本のミュージシャンが、アメリカの観客の前でカントリーやブギウギを演奏するというのは、現地の人にはどういうふうに受け止められるのか気になった。逆に新鮮に受け止められているのだろうか。日本で行われた細のライブでも同様なのだが、意外と若い観客が多い。どういうルートで細野にたどり着いたのかが気になるが、インターネットとサブスクリプトによって、年代的に接点が薄い音楽にも触れやすい環境があるんだろうなと思う。未知の音楽へのアクセスはよくなったが、音楽の歴史的背景には触れにくくなったようにも思う。