セバスチャン・フィツェック著、酒寄進一訳
潜入捜査官のマルティンは妻子が失踪し、失意の中にいた。そんな折、妻子が乗船中に失踪した豪華客船「海のスルタン」号の乗客から、妻子に関する情報があると呼び出される。乗船したマルティンだが、次々と新たな事件が起こる。
次々と新たな事件が起き、どんでん返しにつぐどんでん返しでサプライズの盛りが非常に良い。えっそんな展開なの?!無茶すぎない?!と思う所もあるのだが、意外とちゃんと伏線回収している。この設定、ここにつながっているのか!と感心した部分も。最後のボーナストラック的な部分でもちゃんと回収、かつ新たな展開があるのだ。色々なことが起きすぎ、設定盛りすぎ(登場人物各人の属性の盛りがよすぎて胃もたれしてきそうだし、結構悪趣味でもある)ではあるが、とにかくこの先を読ませるぞ!というやる気に満ちている。豪華客船という大きな密室の中に小さな密室も発生する、閉鎖空間サスペンスの醍醐味もある。豪華客船の旅って退屈しそうなんだけど、これだけ事件が起きるなら飽きる暇はないか(笑)。