今年は在宅する時間が増え、映画館に行けない時期もあったので、自然と読書量が増えた。がっつりした読書が増えた年だった気がする。
1.『おれの眼を撃った男は死んだ』シャネル・ベンツ著、高山真由美訳
今年ぶっちぎりで文章スタイルがかっこよかったと同時にアメリカの、のみならずこの世の苦しみをかみしめた一冊。
2.『ラスト・ストーリーズ』ウィリアム・トレヴァー著、栩木伸明訳
正に匠の技。珠玉の遺作集。読む人によって様々な解釈ができる奥深さと小説としての仕掛けの巧みさ。
3.『掃除婦のための手引書』ルシア・ベルリン著、岸本佐知子訳
評判になったのも納得だしこういう作品が評判になる・売れるという所に希望を感じる。生きる苦しみとユーモアが表裏一体になっている。
4.『コックファイター』チャールズ・ウィルフォード著、齋藤浩太訳
ありがとう加瀬亮…(訳者あとがきをご一読ください)。
5.『蜜のように甘く』イーディス・パールマン著、古屋美登里訳
渋い。年齢を重ねることについて考えましたね。
6.『マーダーボット・ダイアリー(上、下)』マーサ・ウェルズ著、中原尚哉訳
今年読んだSF小説の中で一番面白かった。翻訳の勝利でもあると思う。あの一人称はなかなか思いつかないのでは。
7.『おやときどきこども』鳥羽和久著
子供の問題、親の問題、どちらも個人の人格・尊厳の問題になっていく。
8・『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』栗原康著
伊藤野枝の生き方が自分本位で最高すぎるし文章にグルーヴ感がありすぎる。
9.『なめらかな世界と、その敵』伴名練著
日本の現代SF小説はここまで攻めてきているのか!と唸った。ただ女性登場人物の描写はいまだにこれ?って部分はあるが。皆少女が好きすぎるね。
10.『ローンガール・ハードボイルド』コートニー・サマーズ著、高山真由美訳
少女の戦いを描いたハードボイルドとして秀逸、かつあまりに過酷な「今」の手応えがある。