看護師のジョンヨン(イ・ヨンエ)と夫のミュウングク(パク・ヘジュン)は、6年前に行方不明になった息子ユンスを探し続けていた。ある日「ユンスに似た子をある漁村で見た」という情報が寄せられる。ジョンヨンは漁村を訪ねるが、ユンスが見かけられたという釣り場を営む一家は、彼女を追い返そうとする。監督・脚本はキム・スンウ。
勢いがある展開でぐいぐい見せてくる。終盤はこの絵を撮りたいという熱意の方が先に立ってしまって登場人物の行動経緯が展開上ちぐはぐな所もあり、決して精緻な脚本というわけではないのだが、緊張感が途切れず面白い。イ・ヨンエの母親演技から、子供を失った絶望とわずかな可能性にすがる切迫とがひしひしと迫ってくる。
ジョンヨンとミョングクは子供が失踪するという悲劇にみまわれているが、そこを面白半分につつく世間の冷酷、また無関心が辛い。こんなに無頓着に他人を傷つけるのかと。そして何より、釣り場の一家のように、自分よりも弱い存在を平気で食い物にする、消費していいものとして扱っている様がそら恐ろしかった。更に、彼らが子供や女性を食い物にして守ろうとする利権が全く持ってショボいのだ。こんなことのためにジョンヨンたちはボロボロにされたのか!と愕然とする。全然バランスとれていない気がするのだが、ホン署長(ユ・ジェミョン)たちはそんなこと考えもしないのだろう。すごく狭い世界で展開している小さい悪であることが逆に怖い。