世間から離れ、家族と共に細々と暮らしていたノア(ラッセル・クロウ)は、ある日神のお告げを受ける。世界を飲み込む大洪水が起きると確信した彼は、生命が途絶えぬよう、あらゆる種類の生物を乗せる箱舟を作り始める。しかし箱舟を奪おうとする勢力が現れる。監督はアーレン・アロノフスキー。聖書の非常に有名なエピソードを、独自に解釈し映像化した大作映画。
物語は聖書の大分始めの方、世界がまだ新しかった頃の話だと思うのだが、本作で描かれる世界は荒れ果て、「北斗の拳」かよ!と突っ込みたくなるような荒み方だ。土地が荒れて食用の動植物がないとか、伐採しすぎて山が丸裸とか、神話の世界というよりも近未来SFみたいな世界。爬虫類とも哺乳類ともつかない変な動物とか出てくるしね・・・(洪水で滅んじゃった動物もいたんだよ!ってことなんでしょうが)。ノアたちの衣服もなんとなく人間社会崩壊系未来SFっぽかった。この状況で箱舟を作れるとしたらどんなふうなのか、何が必要か、という部分を意外と地道に推察しているところに妙な律義さを感じた。
前半、ノアが啓示を受け箱舟をつくっていくまでの流れは、正直ちょっとかったるい。パノラマ絵巻のようなシーンは多々あるのだが、アロノフスキーはあまり広い空間を使った絵作りが得意ではないのか、全体的にのっぺりとしていて、スケールの大きな情景を描いているはずなのにあまりスケール感がない。ちょっと飽きたなーと思ってしまったが、舞台が箱舟内に絞られる残り3分の1くらいになると、俄然緊張感が増して面白くなってくる。アロノフスキーの本領はやはり追い詰められた人間、何かに取りつかれた人間の心理を描くことなのだろう。
ノアは神の啓示を聞いた、と信じているが、その内容については、実はノア以外の人にはわからず、彼独自の解釈(おそらく言語としての啓示ではないので)になる。彼の解釈、そして解釈に基づき啓示に従う行動は、家族には受け入れがたいものだ。ノア自身も何度も自問自答し、精神的に追い詰められていく。強固な信仰は時に狂気と同じように見えるのだ。キリスト教文化圏の方、キリスト教徒の方が見たらどんな感想を持つのか気になった。
物語は聖書の大分始めの方、世界がまだ新しかった頃の話だと思うのだが、本作で描かれる世界は荒れ果て、「北斗の拳」かよ!と突っ込みたくなるような荒み方だ。土地が荒れて食用の動植物がないとか、伐採しすぎて山が丸裸とか、神話の世界というよりも近未来SFみたいな世界。爬虫類とも哺乳類ともつかない変な動物とか出てくるしね・・・(洪水で滅んじゃった動物もいたんだよ!ってことなんでしょうが)。ノアたちの衣服もなんとなく人間社会崩壊系未来SFっぽかった。この状況で箱舟を作れるとしたらどんなふうなのか、何が必要か、という部分を意外と地道に推察しているところに妙な律義さを感じた。
前半、ノアが啓示を受け箱舟をつくっていくまでの流れは、正直ちょっとかったるい。パノラマ絵巻のようなシーンは多々あるのだが、アロノフスキーはあまり広い空間を使った絵作りが得意ではないのか、全体的にのっぺりとしていて、スケールの大きな情景を描いているはずなのにあまりスケール感がない。ちょっと飽きたなーと思ってしまったが、舞台が箱舟内に絞られる残り3分の1くらいになると、俄然緊張感が増して面白くなってくる。アロノフスキーの本領はやはり追い詰められた人間、何かに取りつかれた人間の心理を描くことなのだろう。
ノアは神の啓示を聞いた、と信じているが、その内容については、実はノア以外の人にはわからず、彼独自の解釈(おそらく言語としての啓示ではないので)になる。彼の解釈、そして解釈に基づき啓示に従う行動は、家族には受け入れがたいものだ。ノア自身も何度も自問自答し、精神的に追い詰められていく。強固な信仰は時に狂気と同じように見えるのだ。キリスト教文化圏の方、キリスト教徒の方が見たらどんな感想を持つのか気になった。