3つ数えて目をつぶれ

映画と本の感想のみを綴ります。

2013年08月

『スター・トレック イントゥ・ダークネス』

 USSエンタープライズを率い、辺境惑星の調査をしていたカーク(クリス・パイン)は乗組員のスポック(ザッカリー・クイント)を助ける為に重大な規約違反を犯し、処罰として艦長職を解かれる。そんな折、ロンドンの艦隊基地で爆発が起き、更に幹部会議が何者かに襲撃される。犯人として浮上したのは元艦隊士官のジョン・ハリソン(ベネディクト・カンバーバッチ)。カークらもハリソン捕獲に参加するが。監督はJ.J.エイブラハム。同監督によるシリーズリブートの2作目。
 私はスタートレックシリーズはエイブラハムによる前作しか見たことがないのだが、前作は前知識が全くなくても十分楽しめた。衣装などの美術設定も、古臭くならないように上手にアレンジしてあるなという印象だったが、今回もその路線は引き継がれている。単品で見ても楽しめるし、シリーズを知っている人にはくすぐりがあって更に面白いのだろう。何より、シリーズやキャラクターに対する過剰な思いいれがないからか(エイブラハムはスタートレックファンではないと公言している)、あっさりしていて見やすい。暑苦しさがないのだ。ただ、この人たちは結局どういう組織にいるの?テロリストと戦うのは仕事なの?という疑問は残った。そのへん、言わずもがななんだろうし、調べればいいだけの話なんだろうけど、組織としてやっていることの幅がやたらと広くない?
 さて、私は前作を見ているのだが、カークってこんなにいけすかない奴だったろうか。前作見た時はそんなに気にならなかったはずなのだが・・・。無鉄砲で理論よりは感情と勘で動く男として、理性と理論一辺倒のスポックと対称的な造形であることが重要なのはわかる。ただ、本作のカークは、勢いで動いて失敗しても、許してもらえるよね!と思っているふしがあるのがイラつくんだよなー(笑)。年長者にかわいがられているのも腹立たしい!どこの国でもやんちゃ野郎の方がかわいげがあると思われるのかね・・・。また、勘で動くのはいい(いやよくないか)んだけど、それをカークがクルーにちゃんと説明できていないのが気になってしまった。こんな上司の下では働きたくないなぁ。かといってスポックの方がいいかというと、こいつもこいつでイライラするんだけど(笑)。カークもスポックもキャラクターとしては紋切り型なので、ふくらみを持たせたドラマの作りとちょっとそぐわなくなってきているんじゃないかなという気もした。
 基本はキャラクター映画だと思うので、キャラクターに愛情をもてないとちょっと厳しかった。唯一、カンバーバッチ演じるハリソンはかっこよかったです。カンバーバッチってやっぱり演技力しっかりしてるんだなーと再認識した。



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『モーター・ウェイ』

 警察官のショーン(ショーン・ユー)は熾烈なカーチェイスの末、指名手配犯のジョン・サン(ジョシー・ホー)を逮捕する。ジョンは有名な逃がし屋でドライバーとしては凄腕だった。しかしジョンが逮捕されたのは留置所内の仲間を逃がす為だった。まんまと逃げられたショーンは、かつては覆面パトカーチームのエースで、定年間近のロー(アンソニー・ウォン)の指導をあおり、ジョン逮捕に再び挑戦する。監督はソイ・チェン。製作はジョニー・トー。
 ジョニー・トープロデュースでカーアクション映画という情報しかなかったのだが、これは思わぬひろいものだった!2週間限定上映なのがもったいない。実に味わい深いカーアクション映画だった。系譜としては頭文字Dに近いか(やっぱりドリフト重視だし山道だし)。ワイルドスピードシリーズみたいな、だんだん自動車なんだか何なんだかわからなくなってくるど派手なアクションよりも、本作のような「運転している」感の強いカーアクションの方がときめくなー。狭い路地に突っ込んじゃって前にも後ろにも動けない!というシチュエーションなど地味といえばすごく地味なのだsが、このシチュエーションに追い込む犯人のテクニック流石!という気分になる。
 また、セリフ量が少ないことに驚いた。それでも、どういう状況なのか、この人はどういう人なのかということはちゃんとわかる。ちょっとした言葉や仕草が的確に配置されている。脚本・演出がしっかりしているということなんだろうなぁ。ペラペラ説明セリフを入れまくるあの映画やこの映画には見習って頂きたい・・・。
 ショーンもジョンも、それぞれプロとしての矜持と、自分のドライビングテクニックに対するプライドを持ってぶつかっていくところがいい。プライドは高いが、それが見苦しくならない(あっ、ショーンはちょっと見苦しいところがあったな・・・)のは、2人とも饒舌ではないからだろう。
 なお、ジョンに愛車はちょっと古いタイプのスズキ。ショーンも私用車はスズキみたい。走り屋はスズキというセオリーでもあるのだろうか。


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『オーガストウォーズ』

 モスクワに住む5歳の少年チョーマは、離婚した父親に会う為、南オセチアの小さな山村へ一人でやってきた。ここには父親の実家があり、軍人である父親はグルジアとの国境警備の任についていたのだ。しかしグルジア軍が侵攻を始め、チョーマも戦闘に巻き込まれてしまう。チョーマの母クセーニア(スベトラーナ・イバーノブナ)は、息子を助け出す為、単身南オセチアへ向かう。監督・脚本・撮影はジャニック・ファイジエフ。
 2008年におきたロシア・グルジア紛争を題材にしているそうだが、そのものを描いているのではなく、モチーフとして使ったということではないかなと思う。スマートフォンが普及しまくっているので、舞台は多分現代という設定なのではないだろうか(笑)。ロシア軍全面協力だそうで、ミリタリーファンには楽しめるのかもしれないが、戦争映画としては戦う当事者の葛藤がないし、グルジア側に関する描写はほぼないので物足りない。
 ストレートな戦争映画というよりも、息子を救おうとする母親の奮闘、そして息子が見ている世界の話としての側面の方が前に出ている。チョーマは少年とロボットが魔王を倒すというファンタジー劇を気に入っていて、何か嫌な出来事があると、ファンタジー世界の出来事になぞらえてやり過ごす。彼が見ているファンタジーの世界は、クセーニアには理解できず、戦場でパニックに陥ったチョーマとの意思疎通ができなくなってしまう。クセーニアがチョーマを本気で理解しようとする過程、彼のファンタジーに自ら乗っかっていく様はなかなかにぐっとくる。
 が、クセーニアがとにかく突進していく話だからか、見せ場は多いのになんだかストーリー展開が単調に感じられた。また、ロシア政府の国連の声なんて気にしてられっか!という内向きモードがそこはかとなく感じられ、少々不穏。そもそも、グルジアとは戦争していいと思ってるって話だよなー。



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『少年H』

昭和初期の神戸。外国人の役人や商人を主な顧客として仕立て屋を営む父・盛夫(水谷豊)、クリスチャンの母・敏子(伊藤蘭)、妹の好子(花田優里音)と暮らすH少年こと肇(吉岡竜輝)。のびのびと育っていたが、日本は太平洋戦争に突入し、軍事統制が強まっていく。Hは世の中に対する疑問を膨らませていった。妹尾河童の自伝的小説を映画化。監督は降旗康男。
あんまり期待していなかった(原作もあんまり面白いと思わなかったんだよな、確か)のだが、案外いい。映画としてこれは野暮だなぁと思ったシーンもあるのだが(登場人物にしゃべらせすぎだなとか、顔のアップが多すぎるとか)家族で見られる安心感のある作品だと思う。いわゆる感動作、涙を搾り取るような美談にはなっておらず、ユーモラスでもある。H少年が「何か変だ」と思うところは、私達から見ても何か変。しかし当時の世間ではこれが「正しい」とされていたのだと思うとちょっと怖くなる。おかしいなと思っても、それをおおっぴらに口にしてはいけない雰囲気だったということが、盛夫がそれとなく敏子やHに釘を刺す姿にも表れている。あくまで子供であるHの視点で描かれ、なぜ父親がそういう態度を取るのか、説明されないところがよかった。
Hはいかにも一本気な少年でキャラクターとしての面白みは薄いが、その両親の造形はとてもよかった。盛夫はごくごく平凡な男だが、外国人宅へ出入りしていることもあって他の人よりもちょっと視野が広い。当時の中流家庭としてはかなりリベラルだろう。ただ反骨の人というわけでもなく、「世間」と上手くやっていく為、曲げてもいいところはあっさり曲げる。そこが彼の屈託になってくるのだが、水谷の軽やかな演技で、粘着質になりすぎない。対する母・敏子はなかなか曲げられない人で、敏子をいなす盛夫とのやりとりはユーモラスだ。当時の市井の人たちが軍国主義一辺倒だったわけでもなく、結構色々な人がいたという雰囲気も面白い。


少年H(上) (講談社文庫)
あなたへ DVD(2枚組)

『エンド・オブ・ウォッチ』

 白人で撮影マニアのテイラー(ジェイク・ギレンホール)とメキシコ系で愛妻家のサバラ(マイケル・ペーニャ)はL.A.サウスセントラル地区を担当する巡査コンビ。犯罪多発地域で体をはったパトロールにあたっていたが、ある日ふとしたことで、メキシコ系麻薬カルテルの拠点に行き当たってしまう。監督・脚本はデビッド・エアー。この人、末端の警察官が主人公の警察ドラマが好きなのかなー。前作『フェイクシティ』も一見派手そうなのに案外地味だった。なお、『フェイクシティ』よりも大分構成が上手くなっており面白い。
 テイラーがパトロール中の様子を撮影するのが趣味で、パトカーにもカメラを設置しているという設定。ほとんどのシーンがテイラーないしは他の人による手持ちカメラ映像で構成された体の、擬似ルポルタージュ風作品だ。テイラーが与り知らぬチンピラたちの映像も、ちゃんと誰かが撮影している体になっているところが律儀。だが一方で、誰が撮影しているのかわからない「神の目」的な映像も挿入されており、必ずしも統一されているわけではないところがちょっと気になった。
 テイラーもサバラも、いわゆる凄腕というわけでもなく、普通の警官、しかも刑事ではなくパトロール警官だというところがいい。それでも、相手が銃を所持していても違法行為をしていたら追うし、危険な現場でも逃げ遅れた人がいるとわかったら、助けに行く。ある事件で市から表彰された2人が「英雄って気分か?」と問われてもあんまりなーという反応をするシーンが印象に残った。英雄だから英雄的な行為が出来るのではなく、彼らは警官で、職業上普通のことだからやっているんだろうなと思わせるシーンだ。実際、テイラーもサバラも特別に正義感が強く品行方正というわけでもない。普通の人だ(ある現場に遭遇した時の反応も、普通の人の倫理観によるものだなぁと思った)。そういう人たちが体を張れる、ということが、警官という職業の特殊さなように思った。
 テイラーとサバラの友情の深さにはぐっとくるのだが、警官同士の(反感も込みの)連帯感みたいなものの強さが描かれている。舞台が犯罪多発地域で危険が大きいというのも、連帯が強まる一因なのかなと。警察小説やドラマでよく「警察は警察官殺しを許さない」という文句が出てくるが、本当にそうなんだろうなと思えるものがある。


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『オタク・イン・USA 愛と誤解のAnime輸入史』

パトリック・マシアス著、町山智浩編・訳
1972年にアメリカで生まれ、日本の映画やアニメ、漫画の魅力に取りつかれた著者が、アメリカで日本のアニメやマンガがどのように受容されアメリカ独自の展開を見せていったかテンション高め、脱線多めの文章で解説する。ただ、著者の個人的な体験と見解に基づいたところが大きいので(もちろん膨大な知識あってのことなのだが)、客観性は薄いかもしれないけど(笑)。聞いたことのある話も色々あったのだが、日本の漫画・アニメの影響を受けてアメリカで誕生した「アメリマンガ」の存在は初めて知った。文化って色々な形で変容し伝搬していくものだなとしみじみ。サブタイトルに「愛と誤解」とあるが、まさにその通りなところが多々ある。愛はともかく誤解があふれてしまったのは、アニメの場合は文化の違いや翻訳のまずさに加え、アメリカで勝手に編集されてしまった(2つの番組を1本に編集しなおしてしまったものまで!)により本来の文脈がなくなってしまったことによるところも大きいそうだ。き、君たち思い切ってるな!という逸話がゴロゴロ出てきて大変愉快、かつ思えば遠くに来たものだと。更に、本作は2006年に初版が発行されたもの(私は文庫で読んだ)なので、現在では状況が更に変わっている部分もあると思う。


オタク・イン・USA:愛と誤解のAnime輸入史 (ちくま文庫)
本当はこんな歌

『生者と死者と』

エラリー・クイーン著、井上勇訳
ポッツ製靴会社の社長として巨万の富を得たコーネリアス・ポッツは、偏屈な老女として知られていた。ポッツ社の弁護士チャールズと知り合ったエラリーは、ポッツ家の長男サーロウと、父親違いの弟ロバートの決闘騒ぎに巻き込まれる。拳銃から実弾を抜いておこうと自ら細工したエラリーだが、決闘の場でサーロウの拳銃が発射され、ロバートが死亡してしまう。マザーグースの「靴のおうちに住んでるおばあさん~」をモチーフにした作品。クイーンの作品で、童謡などをモチーフにしたいわゆる「見立て」ネタって珍しいんじゃないだろうか。変人ばかりの一家に闖入したエラリーが事件解明に乗り出す。トリックの一部が他の作品(クイーン作品だったかどうかもわからない・・・)で使われていたような気がするし、この作品の短編バージョンをどこかで読んだ気もするのだが、どこだっけなー。この読んだ気がするトリックよりも、もうひとつの、真犯人を特定する仕掛けの理詰めさにクイーンらしさがあると思う。


生者と死者と (創元推理文庫 (104‐21))
マザー・グース1 (講談社文庫)

『ズー・シティ』

ローレン・ビュークス著、和爾桃子訳
犯罪者が動物と共生関係を強制的に結ばされ、その代わりに1つの特殊能力が使えるようになるという、奇妙な現象が広まっていた。ヨハネスブルグのヒルブロウ地区は凶悪犯の吹き溜まりだったが、この現象の蔓延により別名ズー・シティと呼ばれるようになった。ナマケモノと共生し、紛失物捜索の能力を持つジンジは失踪した少女の捜索を依頼されるが、その裏には更なる闇が潜んでいた。動物が魂で繋がったパートナー、という設定といえばフィリップ・プルマンのファンタジー小説『ライラの冒険』シリーズが思い起こされるが(実際、作中で言及されている)、本作の動物は、その人が罪を犯したという証拠。故に動物持ちは周囲から差別される。当人にとって動物は、パートナーであると同時に忌むべき存在、消したいけど消したら自分が自分でなくなる、という設定がいい。ヒロインであるジンジもナマケモノを邪険に扱うが愛情のようなものも示す。良くも悪くも自分の一部なのだ。その「一部」であることが、ジンジが行き当たるある犯罪を、より凄惨なものにしている。が、そこに行き着くまでの右往左往が右往左往すぎて、どういう話なのかしばしば見失いそうになった。設定とストーリー、そしてストーリーのペース配分が上手くいっていない感じで、勿体無い。


ZOO CITY 【ズー シティ】 (ハヤカワ文庫SF)
黄金の羅針盤〈上〉 ライラの冒険

『トゥ・ザ・ワンダー』

 アメリカ人のニール(ベン・アフレック)はシングルマザーのマリーナ(オリガ・キュリレンコ)と恋に落ちる。ニールはマリーナと共に帰国し、オクラホマの小さな町で暮らし始めるが、マリーナは町に馴染めず、ニールとの関係も変化していく。マリーナはクインターナ神父(ハビエル・バルデム)に悩みを打ち明けるが、神父もまた、自らの職務に疑問を抱いていた。監督はテレンス・マリック。
 『ツリー・オブ・ライフ』から(日本公開は)2年後という、(マリックにしては)やたらと早いスピードで公開された本作。今までの寡作っぷりは何だったんだよという気もするが、確かにささっと作りました風なざっくり感。映像の密度は『ツリー・オブ・ライフ』には遠く及ばない。が、手早く作ったことによる軽やかさ、気の置けなさみたいなものもあって、これはこれで悪くはないんじゃないかなと思う。何より(マリックにしては)短い!
 作品の雰囲気は『ツリー・オブ・ライフ』から引き継がれているが、映画の軸が弱い。あるカップルの心が離れていく家庭と、神父が自らの信仰に疑問を持ち苦しむという2本のエピソードにより構成されているが、どちらもなんだか中途半端でインパクトがない。また、2本のエピソードが有機的な絡まりを見せず、少々こじつけっぽく感じられた。「信じることが出来るのか」という葛藤が共通項になっているとはいえ、それぞれ別の映画でもいいのになぁと思ってしまった。
 パリやモン・サン・ミシェルでの映像が美しく、風景の中のマリーナはのびのびとして、いかにもヒロイン然としている。しかしその思い出が美しいからこそ、オクラホマでの生活は、マリーナには場違いに感じられるのだ。マリーナはどこか少女めいた女性で生活感が薄いということもあるだろうけど、何より彼女に染み付いた土地の記憶が、オクラホマを拒否するのではないかと思う。彼女の日常生活は、やはりフランスにあるのだ(ドレスコードが周囲とちょっとずれているところが面白かった)。ニールにとってはオクラホマでの暮らしが「生活」なのだから、ギャップが生じるのも当然だろう。こういう、身に染み付いた土地との馴染み感みたいなものは、パートナーへの愛ではどうにもならないものなのだと思う。そういう部分のギャップ、違和感は、非常にリアルに感じられた。


ツリー・オブ・ライフ [Blu-ray]
巴里(パリ)のアメリカ人 [DVD]

『バッドタイム・ブルース』

オリヴァー・ハリス著、府川由美恵訳
ギャンブルとお酒におぼれて借金を重ね、クレジットカードは全て使えなくなり家までなくした刑事・ニック。行くあてもなく人生の終わりを覚悟した矢先、高級住宅地に独り暮らしをしている男性が行方不明との通報を受ける。捜査担当となったニックはちゃっかりと行方不明者の邸宅に寝泊まりするようになるが、彼が隠し財産を持っていたらしいことに気付く。行方不明になった男の財産と身分を横領(!)しようとする行為と、行方不明者を捜索し彼がなにをしようとしていたのか捜査していく警官としての行為が、ニックの中では矛盾せず両立している。ちょっと気を抜くと他人のお金をちょろまかしているよ!しれっと詐欺・横領をするニックだが、刑事としては有能。高跳びしようとしている自分には不利にはたらくとわかっているのに、つい事件の真相を追ってしまう刑事の性みたいなところが面白い。行き当たりばったりで無茶苦茶なのに、どうも憎めない男なのだ。ニックも彼と敵対する勢力も、それぞれ迷走していくので、謎が解けるというよりもどんどん絡まっていくもつれっぷりも見もの。


バッドタイム・ブルース 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
酔いどれ探偵街を行く (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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