高城高著
明治20年代の函館を舞台とした、『函館水上警察』の2作目。函館生まれながらロシア人商人の養女となった女性。函館にやってきた彼女は、自分の両親を探していると言う。表題作をはじめ、フェンシングの名手である五条警部をはじめとする、函館警察や税関の人々が活躍する中編集。当時の函館の市井の人々の生活や、欧米の文化技術の浸透度合い、海外との交渉など、舞台背景の書き込みが丹念で生き生きとしている。特に、服装に関する記述が目についた。五条はフロックコートの似合う二枚目らしいのだが(笑)、彼の制服やコートをはじめ、男性にしろ女性にしろ、和装にしろ洋装にしろ、ディティールが細かくて楽しい。高城先生は案外ファッション好きでいらっしゃるのかしら・・・。また、『聖アンドレイ十字招かれざる旗』では、当時のロシアとイギリスの一触即発加減と、板ばさみになった日本の苦慮が垣間見えて面白い。時代小説としてはもちろん、ミステリとしてもきっちりネタが仕込まれていて満足感ある。なお最後まで読んでえっと思ったんだが、あれはそういうことなのかな・・・このシリーズもう終了ってことなんですか・・・?
明治20年代の函館を舞台とした、『函館水上警察』の2作目。函館生まれながらロシア人商人の養女となった女性。函館にやってきた彼女は、自分の両親を探していると言う。表題作をはじめ、フェンシングの名手である五条警部をはじめとする、函館警察や税関の人々が活躍する中編集。当時の函館の市井の人々の生活や、欧米の文化技術の浸透度合い、海外との交渉など、舞台背景の書き込みが丹念で生き生きとしている。特に、服装に関する記述が目についた。五条はフロックコートの似合う二枚目らしいのだが(笑)、彼の制服やコートをはじめ、男性にしろ女性にしろ、和装にしろ洋装にしろ、ディティールが細かくて楽しい。高城先生は案外ファッション好きでいらっしゃるのかしら・・・。また、『聖アンドレイ十字招かれざる旗』では、当時のロシアとイギリスの一触即発加減と、板ばさみになった日本の苦慮が垣間見えて面白い。時代小説としてはもちろん、ミステリとしてもきっちりネタが仕込まれていて満足感ある。なお最後まで読んでえっと思ったんだが、あれはそういうことなのかな・・・このシリーズもう終了ってことなんですか・・・?