エリック・マコーマック著、増田まもる訳
「私」は祖父から奇怪な事件の話を聞いた。ある一家で父親が母親を殺し、バラバラにした死体の一部を4人の子供たちの体に埋め込んだというのだ。大人になった「私」はその兄弟それぞれがどのような人生を歩んだのか調べ始める。奇想天外かつグロテスクなミステリのようでもあり、怪奇譚のようでもあるが、一筋縄ではいかない。著者の最近の作品である『ミステリウム』もそうだったが、小説は「誰か」によって語られるものだという側面をすごく意識していると思う。「こういうことがあった」ではなく「こういうことがあったと誰かが言っている」という仕組みなのだと。その仕組みに肩透かしを食らわされたり足元をすくわれたりするのだ。節々にその兆候は見えるものの、ある地点で見える景色ががらりと変わってしまう。その足元の不安定さが著者の作品の魅力なのかなと思った。
「私」は祖父から奇怪な事件の話を聞いた。ある一家で父親が母親を殺し、バラバラにした死体の一部を4人の子供たちの体に埋め込んだというのだ。大人になった「私」はその兄弟それぞれがどのような人生を歩んだのか調べ始める。奇想天外かつグロテスクなミステリのようでもあり、怪奇譚のようでもあるが、一筋縄ではいかない。著者の最近の作品である『ミステリウム』もそうだったが、小説は「誰か」によって語られるものだという側面をすごく意識していると思う。「こういうことがあった」ではなく「こういうことがあったと誰かが言っている」という仕組みなのだと。その仕組みに肩透かしを食らわされたり足元をすくわれたりするのだ。節々にその兆候は見えるものの、ある地点で見える景色ががらりと変わってしまう。その足元の不安定さが著者の作品の魅力なのかなと思った。