マルセル・プルースト著、高遠弘美訳
光文社古典新訳文庫版で読んだ。主にその長さでとっつきにくく思われている本作だが、新訳であればすこしは読みやすいかなと思って。で、実際に読んでみたところ、そんなに読みにくくはないし、予想外にユーモラスだった。本パート「スワン家のほうへ」は、語り手が眠りにおちていくところから始まり、過去の記憶がよみがえってくるという構成。人が何かを思い出す時は、順序だてて時系列通りに思い出すわけではなく、一つのものから連想して次のイメージへと飛んでいくが、本作の文章はその記憶の飛躍の仕方を再現しようとしているように思った。決して文脈が整っているわけではないのだが、イメージ自体は連鎖しているので、その流れに乗ってしまえば意外に読みやすい。人物造形にちょっと悪意があり、時にこれちょっと下品だよなぁというところも。叔母・祖母たち年配女性のかしましさには作中の男性陣ならずとも辟易とする。感謝の意を間接的に伝えようとして間接的過ぎて伝わらないくだりなど最早ギャグである。当時のフランスが歴然とした階級社会である様子がかなり色濃くでているのも興味深い。
光文社古典新訳文庫版で読んだ。主にその長さでとっつきにくく思われている本作だが、新訳であればすこしは読みやすいかなと思って。で、実際に読んでみたところ、そんなに読みにくくはないし、予想外にユーモラスだった。本パート「スワン家のほうへ」は、語り手が眠りにおちていくところから始まり、過去の記憶がよみがえってくるという構成。人が何かを思い出す時は、順序だてて時系列通りに思い出すわけではなく、一つのものから連想して次のイメージへと飛んでいくが、本作の文章はその記憶の飛躍の仕方を再現しようとしているように思った。決して文脈が整っているわけではないのだが、イメージ自体は連鎖しているので、その流れに乗ってしまえば意外に読みやすい。人物造形にちょっと悪意があり、時にこれちょっと下品だよなぁというところも。叔母・祖母たち年配女性のかしましさには作中の男性陣ならずとも辟易とする。感謝の意を間接的に伝えようとして間接的過ぎて伝わらないくだりなど最早ギャグである。当時のフランスが歴然とした階級社会である様子がかなり色濃くでているのも興味深い。