ピアニスト志望のジャンヌ(アナ・ムグラリス)は、ふとしたことで自分の出生にまつわる秘密を知る。病院で同じ日に生まれた赤ん坊と取り違えられた可能性があるというのだ。ジャンヌは自分の実の父親かもしれない、ピアニストのアンドレ(ジャック・デュトロン)とその再婚相ミカ(イザベル・ユペール)を尋ねる。アンドレの前の妻は交通事故で死亡しており、一人息子ギョームが残されていた。アンドレからピアノのレッスンを受けるようになったジャンヌは、ミカが魔法瓶のココアをわざと床にこぼすのを見て不審に思う。
クロード・シャブロル監督、2000年の作品。セレブな2つの家庭が舞台となるサスペンスであり、一種の悪女ものでもあるだろう。しかし、本作の悪女・ミカは、悪を為す動機がはっきりしない。恋愛がらみだったり、資産狙いだったりするのなら分かりやすいのだが、彼女には具体的な動機がないのだ。好意を持っている風な相手であっても、単純に邪魔な相手であっても、同じく殺意を示す。メリット/デメリットの問題ではなく、良かれ悪しかれ相手に対しての特別な感情の発露として殺意が沸いてくる、というふうなのだ。侵入者であるジャンヌに対してはともかく、ギョームに対してなんて、むしろ父親であるアンドレよりも親身な同情があるように思うのだが。
ミカにとっては侵入者であるジャンヌも、ただの美少女ではなく度胸と抜け目のなさ、ある種のずうずうしさがある。彼女に比べるとミカの方がまだ繊細に見えるかもしれない(笑)。私はムグラリスのルックスがすごく好きなのだが、本作の彼女はふてぶてしくて実にいい。
アンドレがピアニストという設定もあって、ピアノ曲が多く使われているのだが、音楽の使い方がすごくしっくりきていいなと思った。アンドレとジャンヌがレッスンする曲がリストの『葬送』というのはあからさまに不吉すぎるのだが(笑)。音楽を使うタイミングが上手いなと思った。
舞台はスイスらしい。アンドレ夫妻の自宅として使われている、丘の上にある邸宅が素敵なのだが、これはデヴィッド・ボウイが所有していたこともあるとか。なお、原題は「ありがとうチョコレート(ココア?)」みたいな意味。ミカはチョコレート会社の社長なのだ。
クロード・シャブロル監督、2000年の作品。セレブな2つの家庭が舞台となるサスペンスであり、一種の悪女ものでもあるだろう。しかし、本作の悪女・ミカは、悪を為す動機がはっきりしない。恋愛がらみだったり、資産狙いだったりするのなら分かりやすいのだが、彼女には具体的な動機がないのだ。好意を持っている風な相手であっても、単純に邪魔な相手であっても、同じく殺意を示す。メリット/デメリットの問題ではなく、良かれ悪しかれ相手に対しての特別な感情の発露として殺意が沸いてくる、というふうなのだ。侵入者であるジャンヌに対してはともかく、ギョームに対してなんて、むしろ父親であるアンドレよりも親身な同情があるように思うのだが。
ミカにとっては侵入者であるジャンヌも、ただの美少女ではなく度胸と抜け目のなさ、ある種のずうずうしさがある。彼女に比べるとミカの方がまだ繊細に見えるかもしれない(笑)。私はムグラリスのルックスがすごく好きなのだが、本作の彼女はふてぶてしくて実にいい。
アンドレがピアニストという設定もあって、ピアノ曲が多く使われているのだが、音楽の使い方がすごくしっくりきていいなと思った。アンドレとジャンヌがレッスンする曲がリストの『葬送』というのはあからさまに不吉すぎるのだが(笑)。音楽を使うタイミングが上手いなと思った。
舞台はスイスらしい。アンドレ夫妻の自宅として使われている、丘の上にある邸宅が素敵なのだが、これはデヴィッド・ボウイが所有していたこともあるとか。なお、原題は「ありがとうチョコレート(ココア?)」みたいな意味。ミカはチョコレート会社の社長なのだ。