離婚したなおこ(菅野美穂)は、一人娘を連れて故郷の港町に戻ってきた。母・まさ子(夏木マリ)が営業している美容院は、町の女たちでいつも賑やかだ。なおこの幼馴染のみっちゃん(小池栄子)やともちゃん(池脇千鶴)もよく顔を見せる。「再婚しないの?」と問われるなおこだが、高校教師のカシマ(江口洋輔)と密かに付き合っていた。
監督は『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『クヒロ大佐』の吉田大八。前2作とはうってかわった、しっとりと、淡々とした雰囲気の作品になっている。『クヒオ大佐』の時、クヒオよりもむしろ彼をとりまく女性達の造形の方が上手いと思ったのだが、女性造形の上手さが本作では活かされていると思う。
本作の原作は、西原理恵子の同名漫画。西原作品は過去何作かが映画化されているし、最近では本作と舞台背景が似ている『おんなのこ物語』。ただ、映画化としては、本作が一番成功しているのではないかと思った。原作とはストーリーが若干異なるが、本作が、女性の気持ちに一番沿っているように思う。また、主演の菅野美穂が予想以上に好演していたというのも一因だ。彼女をとりまく母親や友人たちも、いいキャスティングだった。そして江口洋介がやたらとかっこいい。ちょっとかっこよすぎないか?と思ったが、彼の役柄上、これで正解なのだと見終わって納得した。
監督の作品には一貫して、あまり男運のよくなかったり、イタい人だったり、苦労人だったり、決して世間で言うところの勝ち組ではない女性たちが登場する。そして造形が上手い。この特質が西原作品と相性が良かったのではないかと思う。本作でも、離婚したなおこを筆頭に、浮気性の夫と刃傷沙汰になるみっちゃん、DV男やギャンブル狂ばかりつかんでしまうともちゃん、そして男とくっついたりはなれたりとアグレッシブな港のおばちゃんたち。対男性というところに関しては似たようなタイプばかりなのが気になるが、だからこそ、なおこが若干異色であることが際立つ。
西原作品が描く女性は女としてたくましすぎて、個人的にはあまり共感することがないのだが(作品は面白いし好き。面白いかどうかと共感するかどうかは別物)、本作は女性の視線に沿っていながら、やや距離を置いたスタンスなのでそんなに気にならなかった。女性達への微妙な距離感は、子供の母親に対する視線が取り入れられたことによって生じているように思う。子供から見られることによって、「母」としての役割に引き戻される。恋愛にひたりたくてもそれは許されない。この引き戻しが、子供時代のなおこから、なおこの娘へと引き継がれているところにひやりとした。ただ、なおこの場合は、子供により引き戻されることが生のベクトルへと戻ることにもなっている。ラストは菅野の表情と相まって「帰ってきた」感がある。
監督は『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『クヒロ大佐』の吉田大八。前2作とはうってかわった、しっとりと、淡々とした雰囲気の作品になっている。『クヒオ大佐』の時、クヒオよりもむしろ彼をとりまく女性達の造形の方が上手いと思ったのだが、女性造形の上手さが本作では活かされていると思う。
本作の原作は、西原理恵子の同名漫画。西原作品は過去何作かが映画化されているし、最近では本作と舞台背景が似ている『おんなのこ物語』。ただ、映画化としては、本作が一番成功しているのではないかと思った。原作とはストーリーが若干異なるが、本作が、女性の気持ちに一番沿っているように思う。また、主演の菅野美穂が予想以上に好演していたというのも一因だ。彼女をとりまく母親や友人たちも、いいキャスティングだった。そして江口洋介がやたらとかっこいい。ちょっとかっこよすぎないか?と思ったが、彼の役柄上、これで正解なのだと見終わって納得した。
監督の作品には一貫して、あまり男運のよくなかったり、イタい人だったり、苦労人だったり、決して世間で言うところの勝ち組ではない女性たちが登場する。そして造形が上手い。この特質が西原作品と相性が良かったのではないかと思う。本作でも、離婚したなおこを筆頭に、浮気性の夫と刃傷沙汰になるみっちゃん、DV男やギャンブル狂ばかりつかんでしまうともちゃん、そして男とくっついたりはなれたりとアグレッシブな港のおばちゃんたち。対男性というところに関しては似たようなタイプばかりなのが気になるが、だからこそ、なおこが若干異色であることが際立つ。
西原作品が描く女性は女としてたくましすぎて、個人的にはあまり共感することがないのだが(作品は面白いし好き。面白いかどうかと共感するかどうかは別物)、本作は女性の視線に沿っていながら、やや距離を置いたスタンスなのでそんなに気にならなかった。女性達への微妙な距離感は、子供の母親に対する視線が取り入れられたことによって生じているように思う。子供から見られることによって、「母」としての役割に引き戻される。恋愛にひたりたくてもそれは許されない。この引き戻しが、子供時代のなおこから、なおこの娘へと引き継がれているところにひやりとした。ただ、なおこの場合は、子供により引き戻されることが生のベクトルへと戻ることにもなっている。ラストは菅野の表情と相まって「帰ってきた」感がある。