(若干ネタバレです)リストラ宣告請負人のライアン(ジョージ・クルーニー)は年間322の出張をこなし、そのマイレージは1000万目前。しかし新人のナタリー(アナ・ケンドリック)がネットでの解雇通知による出張費の削減を提案。ライアンは嫌々ながら、ナタリーの研修をかねた出張に出る。
監督は『サンキュー・スモーキング』『JUNO』のジェイソン・ライトマン。この人の監督作とは私は相性がいいらしく(多分編集のリズムが好みなんだと思う)、毎回楽しく見ることができている。今回も当たり。音楽のセレクトもよかった。どことなく懐かしいナンバーが使われている。今回は曲の歌詞も重要なファクターなので、ちゃんと日本語字幕を付けてあるのはうれしい。
荷物は最小限、家族はないも同然の独身の身で、軽やかに移動を続けるライアンは、自分のライフスタイルに迷いを持っていなかったし変える気もなかったし、実際に社会的には成功している人物だ。しかし見ようによっては、ナタリーに責められるように、誰かと人生を共にする責任を回避し続けていることでもある。自分以外のことに責任を持つのがおっくう、他人と人生を共にするのが怖いという臆病さというか未熟さというかは、なかなか耳が痛いものがある。
そんなライアンにも、自分のポリシーが揺らぐ出会いが訪れる。しかし、その結末は皮肉なものだった。出張生活をやめようという方向に傾くと、出張生活再開のお達しがくる。このほかにも、登場人物の気持ちと行動の結果とが裏腹な、皮肉な展開が多く見られた。ライアンが妹の婚約者に結婚について説くシーンも、いいこと言っているのだが、ライアン本人の人生とは全く一致していない、むしろそれ自分に説教してやったほうがいいんじゃないですかというものだ。また、クビを宣告する立場のライアンがナタリーの提案により自分がクビにされそうになるし、堅実な人生プランを描いていたナタリーはふとしたことでつまづいてしまう。思ったとおりにならない、というより、人生の転機がいつもタイミングを外してやってくるという感じなのだ。なんでそうなっちゃうんだろうな、とぼやきたくなる。
結局ライアンは人生の方向を定められないままだ。変わろうと思ってもそう簡単には人は変われない。語り口は軽妙だが、ラストには悲哀がにじむ。ただ、ライアンは自分の中にもこういった感情がある、ということには気づいたわけで、この先変わっていくのかもしれないけれど。
ところで、ナタリーが理想の男性の話をするシーンで、あまりに典型的かつ保守的な理想像なのでおどろいた。愛があれば、とはいわないが条件挙げすぎると却って非現実的になるなー。対する30代女性が「色々条件はあるけど笑顔が素敵なのが一番」というのは、それまでの人生を思わせるものがある。あとアメリカの30代女性ってこんなに大人なイメージなのかと愕然・・・。
監督は『サンキュー・スモーキング』『JUNO』のジェイソン・ライトマン。この人の監督作とは私は相性がいいらしく(多分編集のリズムが好みなんだと思う)、毎回楽しく見ることができている。今回も当たり。音楽のセレクトもよかった。どことなく懐かしいナンバーが使われている。今回は曲の歌詞も重要なファクターなので、ちゃんと日本語字幕を付けてあるのはうれしい。
荷物は最小限、家族はないも同然の独身の身で、軽やかに移動を続けるライアンは、自分のライフスタイルに迷いを持っていなかったし変える気もなかったし、実際に社会的には成功している人物だ。しかし見ようによっては、ナタリーに責められるように、誰かと人生を共にする責任を回避し続けていることでもある。自分以外のことに責任を持つのがおっくう、他人と人生を共にするのが怖いという臆病さというか未熟さというかは、なかなか耳が痛いものがある。
そんなライアンにも、自分のポリシーが揺らぐ出会いが訪れる。しかし、その結末は皮肉なものだった。出張生活をやめようという方向に傾くと、出張生活再開のお達しがくる。このほかにも、登場人物の気持ちと行動の結果とが裏腹な、皮肉な展開が多く見られた。ライアンが妹の婚約者に結婚について説くシーンも、いいこと言っているのだが、ライアン本人の人生とは全く一致していない、むしろそれ自分に説教してやったほうがいいんじゃないですかというものだ。また、クビを宣告する立場のライアンがナタリーの提案により自分がクビにされそうになるし、堅実な人生プランを描いていたナタリーはふとしたことでつまづいてしまう。思ったとおりにならない、というより、人生の転機がいつもタイミングを外してやってくるという感じなのだ。なんでそうなっちゃうんだろうな、とぼやきたくなる。
結局ライアンは人生の方向を定められないままだ。変わろうと思ってもそう簡単には人は変われない。語り口は軽妙だが、ラストには悲哀がにじむ。ただ、ライアンは自分の中にもこういった感情がある、ということには気づいたわけで、この先変わっていくのかもしれないけれど。
ところで、ナタリーが理想の男性の話をするシーンで、あまりに典型的かつ保守的な理想像なのでおどろいた。愛があれば、とはいわないが条件挙げすぎると却って非現実的になるなー。対する30代女性が「色々条件はあるけど笑顔が素敵なのが一番」というのは、それまでの人生を思わせるものがある。あとアメリカの30代女性ってこんなに大人なイメージなのかと愕然・・・。