腕利き殺し屋のジョー(ニコラス・ケイジ)は引退を決意し、最後の仕事の為にバンコクへ訪れた。捨て駒のつもりでチンピラの青年コンを雇い、さっそく仕事に取り掛かる。1件目の仕事で腕にケガをしたジョーは薬を買いに行き、薬局の女性店員に心惹かれる。一方、コンは仕事中に警察の取り締まりに遭遇し、ジョーとの約束を破ってしまう。コンの始末を考えたジョーだが。監督はオキサイド&ダニー・パン。双子の兄弟監督ということで話題になった人たちだ。本作は、自監督作品のリメイクとなる。
リメイク元となった監督の初期作品『レイン』は、以前何かの映画祭で見たことがあるのだが、正直あまり印象に残る作品ではなかった。リメイクといっても本作は、『レイン』を大きく改変している。殺し屋が主人公というところは同じだが、共通点はそのくらい。また、『レイン』以来パン兄弟の作品は見ていなかったのだが、本作はちゃんとハリウッドのアクション映画仕様になっているので感心した。見せ方が上手くなったなぁ(比較の問題ですが・・・)。
もっとも、アクション映画としては見せ場が終盤に集中しており、中盤まではいくぶん地味目。ジョーが職業としての殺し屋だということもあり、派手な見せ場はない。舞台であるバンコクの雰囲気がいいので、ストーリーよりもその雰囲気の方が見所になっている印象だった。パン兄弟はそもそもタイ出身なので、彼らの撮るバンコクがエキゾチックに見えるというのも妙な話なのだが。映像のトーンがかなり暗め・青めなのも、エキゾチックさを強調するためだろう。好みの問題だが、ちょっと青みが強すぎる。ただ、こういう色合いにすると、風景がより遠く感じるというか、実感が薄くなる。これはジョーが見る世界ということなんじゃないかなとも思った。彼は職業上、個人的な人付き合いや特定の土地との縁が全くない、根無し草の人間だ。もちろん職業は公表できないし名前も本名なのかわからない。そんな人間にとって、この世は「遠い」ものなのではないだろうか。
殺し屋が足抜けしようとして~というストーリーはさほど珍しくもないものだろう。本作もストーリー含め、さほど突出した作品というわけではない。しかしなんとなく本作を悪くないなと思わせるのは、ジョーの持つ悲哀が妙に(個人的に)しみじみと染みるからかもしれない。彼は腕利きの殺し屋ではあるのだが、自分の限界を感じている。それは肉体的なものではなく、主に精神的なものだろう。自分の中のキャパがいっぱいになってしまい、あとは零れ落ちるのみというぎりぎりな感じ。ジョーがコンの弟子入りを許してしまうのも、薬局の女性をデートに誘ってしまうのも、彼の中で何かがこぼれだしてしまったからと考えると、プロの殺し屋としては失格であろう行動の数々も納得できる。
ジョーを演じるのがニコラス・ケイジというのもポイントで、この人にはなんとなく悲哀を感じる。出演作がB級ド真ん中な作品ばかりでも、「まあケイジなら・・・」と許せてしまうのも、その悲哀のせいかもしれない。
リメイク元となった監督の初期作品『レイン』は、以前何かの映画祭で見たことがあるのだが、正直あまり印象に残る作品ではなかった。リメイクといっても本作は、『レイン』を大きく改変している。殺し屋が主人公というところは同じだが、共通点はそのくらい。また、『レイン』以来パン兄弟の作品は見ていなかったのだが、本作はちゃんとハリウッドのアクション映画仕様になっているので感心した。見せ方が上手くなったなぁ(比較の問題ですが・・・)。
もっとも、アクション映画としては見せ場が終盤に集中しており、中盤まではいくぶん地味目。ジョーが職業としての殺し屋だということもあり、派手な見せ場はない。舞台であるバンコクの雰囲気がいいので、ストーリーよりもその雰囲気の方が見所になっている印象だった。パン兄弟はそもそもタイ出身なので、彼らの撮るバンコクがエキゾチックに見えるというのも妙な話なのだが。映像のトーンがかなり暗め・青めなのも、エキゾチックさを強調するためだろう。好みの問題だが、ちょっと青みが強すぎる。ただ、こういう色合いにすると、風景がより遠く感じるというか、実感が薄くなる。これはジョーが見る世界ということなんじゃないかなとも思った。彼は職業上、個人的な人付き合いや特定の土地との縁が全くない、根無し草の人間だ。もちろん職業は公表できないし名前も本名なのかわからない。そんな人間にとって、この世は「遠い」ものなのではないだろうか。
殺し屋が足抜けしようとして~というストーリーはさほど珍しくもないものだろう。本作もストーリー含め、さほど突出した作品というわけではない。しかしなんとなく本作を悪くないなと思わせるのは、ジョーの持つ悲哀が妙に(個人的に)しみじみと染みるからかもしれない。彼は腕利きの殺し屋ではあるのだが、自分の限界を感じている。それは肉体的なものではなく、主に精神的なものだろう。自分の中のキャパがいっぱいになってしまい、あとは零れ落ちるのみというぎりぎりな感じ。ジョーがコンの弟子入りを許してしまうのも、薬局の女性をデートに誘ってしまうのも、彼の中で何かがこぼれだしてしまったからと考えると、プロの殺し屋としては失格であろう行動の数々も納得できる。
ジョーを演じるのがニコラス・ケイジというのもポイントで、この人にはなんとなく悲哀を感じる。出演作がB級ド真ん中な作品ばかりでも、「まあケイジなら・・・」と許せてしまうのも、その悲哀のせいかもしれない。