堀江敏幸著
グリニッジ以前から存在していた、フランス独自の子午線であるパリ子午線。その痕跡を探す散策を綴った表題作をはじめとする随筆集。ジャック・レダの著作を念頭において散策し、宿に戻ったらレダからの留守電が入っていたというエピソードは出来すぎだがしびれる。縁があるとはこういうことか。核心をいきなりは掴むことなく、迂回しつつ徐々に近づいていく著者の文章は、パリ子午線の探索にもどこか似ている。優柔不断気味だけど明晰というのは不思議な感じもするが。しかしこの人の文章は美しいねー。読むとほっとする。とりあげられている文学作品のなかで、邦訳されているものがあまりないのが残念。
グリニッジ以前から存在していた、フランス独自の子午線であるパリ子午線。その痕跡を探す散策を綴った表題作をはじめとする随筆集。ジャック・レダの著作を念頭において散策し、宿に戻ったらレダからの留守電が入っていたというエピソードは出来すぎだがしびれる。縁があるとはこういうことか。核心をいきなりは掴むことなく、迂回しつつ徐々に近づいていく著者の文章は、パリ子午線の探索にもどこか似ている。優柔不断気味だけど明晰というのは不思議な感じもするが。しかしこの人の文章は美しいねー。読むとほっとする。とりあげられている文学作品のなかで、邦訳されているものがあまりないのが残念。