仙台の大学に進学し一人暮らしを始めた椎名(濱田岳)は、アパートの隣人・河崎(瑛太)に「本屋を襲撃しよう」と誘われる。同じくアパート住民のブータン人の為、『広辞苑』を強奪するというのだ。なりゆきで手を貸してしまう椎名。河崎は椎名に、ブータン人と彼の恋人との物語を語る。
原作は伊坂幸太郎の同名小説。監督はなぜかホラー映画の仕事が多かった中村義広。原作にあくまで忠実に作った映画という印象を受けた(印象、としたのは原作の細部をもう忘れているからです)。なので、原作のキーとなっていた現在と過去を行き来する構成は概ね上手くいっている。また、原作には、どうやって映像化するのかしらというあるトリックが仕掛けられていたが、その点に関しては結構思い切って処理していた。ある意味ずるいが、こうするしかなかっただろうなぁ。
かなり切ない物語ではあるのだが、個人的にはそこにあまり浸ることができない。原作を読んだ時にも思ったのだが、琴美の言動がうかつすぎるのだ。そこでよけいなこと言わなければいいのに!さっさと警察に届ければいいのに!やりかたが愚直すぎる。それじゃあそういう結果になるわなぁ・・・と思ってしまうのだ。
ただ、琴美に限らず、登場人物は善人であれ悪人であれ、どこかしら愚かだ(善人に関して言えば、皆愚直だ)。琴美は「神様に見ないフリしてもらおうよ」と、ある人が神と仰ぐボブ・ディランのCDを戸棚に隠す。自分たちが愚かなのは分かっている、でも今は見逃してくれないか、という祈りにも似たものが漂う。まあ、そういうところが気恥ずかしくもあるんですが。
椎名と河崎が駅で別れるシーンがいい。椎名は「彼らの物語に途中参加してきた」といわれる蚊帳の外の存在、一歩置いていかれている存在に見えていたが、実際にいつも置いていかれるのは河崎なのだ。これは切なかった。
ボブ・ディランの「風に吹かれて」がやたらと流れる映画なのだが、文字に書かれているのではなく実際に音楽として聞いてみると、別にこの曲である必要はないかなぁ。曲の題名や歌詞等、文字の持つイメージが勝っていたのかもしれない。
河崎役の瑛太が良かった。後半の迷演技?もかわいい。意外に美声なので、吹替え等の仕事もやってみてほしい。あと、ある役で松田龍平が出演しているのだが、この人はやっぱり妙な色気があると思う。
原作は伊坂幸太郎の同名小説。監督はなぜかホラー映画の仕事が多かった中村義広。原作にあくまで忠実に作った映画という印象を受けた(印象、としたのは原作の細部をもう忘れているからです)。なので、原作のキーとなっていた現在と過去を行き来する構成は概ね上手くいっている。また、原作には、どうやって映像化するのかしらというあるトリックが仕掛けられていたが、その点に関しては結構思い切って処理していた。ある意味ずるいが、こうするしかなかっただろうなぁ。
かなり切ない物語ではあるのだが、個人的にはそこにあまり浸ることができない。原作を読んだ時にも思ったのだが、琴美の言動がうかつすぎるのだ。そこでよけいなこと言わなければいいのに!さっさと警察に届ければいいのに!やりかたが愚直すぎる。それじゃあそういう結果になるわなぁ・・・と思ってしまうのだ。
ただ、琴美に限らず、登場人物は善人であれ悪人であれ、どこかしら愚かだ(善人に関して言えば、皆愚直だ)。琴美は「神様に見ないフリしてもらおうよ」と、ある人が神と仰ぐボブ・ディランのCDを戸棚に隠す。自分たちが愚かなのは分かっている、でも今は見逃してくれないか、という祈りにも似たものが漂う。まあ、そういうところが気恥ずかしくもあるんですが。
椎名と河崎が駅で別れるシーンがいい。椎名は「彼らの物語に途中参加してきた」といわれる蚊帳の外の存在、一歩置いていかれている存在に見えていたが、実際にいつも置いていかれるのは河崎なのだ。これは切なかった。
ボブ・ディランの「風に吹かれて」がやたらと流れる映画なのだが、文字に書かれているのではなく実際に音楽として聞いてみると、別にこの曲である必要はないかなぁ。曲の題名や歌詞等、文字の持つイメージが勝っていたのかもしれない。
河崎役の瑛太が良かった。後半の迷演技?もかわいい。意外に美声なので、吹替え等の仕事もやってみてほしい。あと、ある役で松田龍平が出演しているのだが、この人はやっぱり妙な色気があると思う。