かつて「泥棒の王」と呼ばれていたブライアン(マイケル・ケイン)は泥棒稼業を引退し平穏な日々を送っていた。しかし知人のバジル(チャリー・コックス)から、ロンドン随一の宝飾店街「ハットンガーデン」での窃盗計画を持ち掛けられる。ブライアンはかつての泥棒仲間を集めるが。監督はジェームズ・マーシュ。
 2015年に実際に起きた、英国史上最高齢かつ最高額の金庫破りとして世間を騒がせた事件をドラマ化した作品。おじいちゃんたちが昔取った杵柄で金庫破り!というと何やら愉快痛快な話を想像しそうだが、本作、意外と地味。実話をベースにしているからだろうが、犯罪が泥臭いと言うか、全然爽快ではなく「仕事」として面倒臭いのだ。更にメンバーも60代が「若手」扱いという高齢者集団なので、体は動かないしコンピューターには弱いしで、ブライアンの計画には色々と粗が出てくる。傍から見ていると、プロ集団のわりには詰めが甘い、計画が雑なように見えるのだ。そのスムーズにいかない雑さ、大雑把さこそがエンターテイメントのようにはいかない「仕事」っぽさなのだろう。結構渋い話なのだ。
 英国最高額の金庫破りのわりには、計画の破綻の仕方がショボいあたりも、実際の仕事ってこういう所あるよな…というしょっぱい気持ちになる。ちょっとした油断はもちろんなのだが、問題の大半が人間関係から生じてくるのだ。あいつのあそこが気に食わないとか、あいつは俺をバカにしているとか、もはや窃盗と関係なくどこの職場でもありそうなごたごた。加えて、やっていることが違法行為なため、裏切ったのでは・出し抜かれたのではという疑心暗鬼が積み重なっていく。誰がどうやって出し抜くのか、というとコンゲームのようだが全くそんなことはなく、なし崩しになっていくというのがなかなかのしょっぱさだ。
 結局ブライアンの計画はどう着地するはずだったのかとか、彼が途中で離脱するのが若干唐突だとか、いわゆる「よくできた」ストーリーではないしそんなに起伏にメリハリがあるわけでもない。それでも不思議とダレないのは、劇伴の乗せ方の効果だろう。ジャズをベースにした(ブライアンがジャズ好き)音楽が多用されており音楽入っていないシーンの方が少ないくらいなのだが、音楽のグルーヴで映画が駆動していくような印象を受けた。

ジーサンズ はじめての強盗(字幕版)
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2017-10-27


ミニミニ大作戦 (字幕版)
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2013-11-26