ネレ・ノイハウス著、酒寄進一訳
 キャンプ場でキャンピングトレーラーが爆発し、男性の焼死体が発見された。刑事オリヴァーとピアは捜査を開始するが、トレーラーの持ち主はオリヴァーの知人の母親だった。更に余命僅かだった彼女が何者かに絞殺される。更に殺人事件が起きるが、関係者はオリヴァーの知り合いばかりだった。オリヴァーは少年時代の忌まわしい事件を思い出す。
 オリヴァー&ピアシリーズの新作だが、多分今までで一番ボリュームがある。そして登場人物一覧が長い!更に各一族の家系図付き!人が多いよ!読んでいる間もこの人だれだっけ?と何度も確認しなおしてしまった。今回の事件は、オリヴァーが幼いころから暮らしてきたルッペルツハイン村の人間関係に深く根差し、オリヴァーは子供時代からの知り合いたちとの記憶に苦しむ。幼馴染という言葉だと何となく微笑ましいし、幼いころからの友人というとちょっと憧れる向きもあるだろう。でも実際のところ幼馴染なんてろくなもんじゃないぞ!子供の頃の人間関係を引きずるのは最悪だぞ!という割と身もふたもない話だ。そして相互監視状態にあり人間関係のしがらみがきつい村社会の怖さをひしひしと感じた。
 事件の発端は極めて利己的かつ対して思慮深くもない行動なのに、ここまで事態がこじれてしまった、誰も彼も巻き込まれてしまったという所は悪夢的でもあるが、人間のしょうもなさが露呈しているということでもある。また親の身勝手の犠牲になる子供たちが複数登場するが、本作を貫いているのは大人の利己心だ。


生者と死者に告ぐ (創元推理文庫)
ネレ・ノイハウス
東京創元社
2019-10-30