中学生のちひろ(芦田愛菜)は両親と2人暮らし。両親は新興宗教に深く傾倒していた。病弱だった幼いころのちひろを救ったのがこの宗教で清められた水の力だと信じているのだ。中学3年になり受験を控えたちひろは、憧れている南先生(岡田将生)に、宗教儀式を行っている両親の姿を見られてしまう。原作は今村夏子の同名小説。監督・脚本は大森立嗣。
 ちひろの父(永瀬正敏)も母(原田知世)も、彼女のことを愛し大切にしているが、世間から見たら変な環境でかわいそう、ということになる。実際、子供を大切にしてはいるが日々の食事や住環境については少々おろそか、というより宗教内の価値観で行動してしまうので世間の「ケア」とはずれていると言った方がいいだろう。ちひろは両親を愛しており自分がかわいそうとは思っていない(と思われる)ので、世間とのギャップが生じる。なんとなくわかっていたそれが、南の言葉で突き付けられてしまう。
 ちひろにとっては宗教に傾倒していることも含めて自分の両親であり、そういう両親がいるということが自分を構成するパーツになっている。そこに対する否定はなく、両親の愛を信じ、自身も彼らを愛する。とは言えその愛は、15歳の子供の視野の中での愛であり選択だ。子供にはそもそも選択肢がない。伯父一家からの提案をきっぱり断るちひろの姿は毅然としているが、それは選択肢がないから、他を知らないからだということを見落としてはいけないだろう。
 ちひろの友人とそのボーイフレンドの存在感がいい。ちひろの家が宗教にはまっていることは知っており、それを口にもするが、揶揄はしない。ボーイフレンドもちょっと抜けているけどちひろに対する態度はフラットだ。距離の取り方が適切なのだ。対して、南の態度の失礼さが際立つ。大人げないな!彼の授業も、こいつ生徒の話絶対聞いてないなという姿勢のもので大分独りよがりだったと思う。

星の子 (朝日文庫)
今村 夏子
朝日新聞出版
2020-01-31


タロウのバカ
國村隼
2020-02-18