1972年に初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』が誕生して以来、映画を構成する大きな要素であり、進化し続ける映画音響。映画の歴史を塗り替えてきた音響の歴史、技術者たちの拘りと創意工夫の歴史を追うドキュメンタリー。監督はミッジ・コスティン。
 音響と言うと映画製作の中ではいまいち地味な印象で、技術者一人一人にスポットが当たる機会は少ない(コアな映画ファンは把握しているのだろうが、一般的には注目されにくいように思う。しかし本作で「音響あり/なし」の比較がされると、音の入れ方、作り方によって映画の印象ってすごく変わるんだなと改めて確認できる。スターウォーズを初めて見た観客のリアクションにまつわるエピソードで、それを実感した。あの瞬間に立ち会った人は幸せだな…。
 作中、映像の音響調整あり/なしの比較がしばしばされるのだが、そういえばこういう所も調整されているんだった!と再確認すること多々。なんとなく当然と思っている部分が実は当然はない。当然に感じられる=自然に感じられるように調整されているということなのだ。実はすごく手が込んでいる。映画の中の「自然」は、実際には自然ではなく、観客のイメージの中の自然さなのだな。
 インタビューに答えている技術者には意外と女性が多い。が、実際は音響以外の部門にも相当数の女性がいて、今までスポットが当たることがなかったということなのだろう。作中でも「映画現場は男性が多いと思われているけど、実際はそんなことない」という話が出ていた。
 NHKの教育番組的なオーソドックスな構成で、映像としては映画館で見る意義はあまり感じない。が、本作はやはり映画館で見ないと意味がない作品だ。音響効果の、「ここがこういうふうになっている」という実演・比較が作中でされるので、映画館で見ないとちょっと意味がなくなってしまう所がある(映画館並みの設備のホームシアターならいいのだろうが)。音響のいい映画館で見ることをお勧めする。

Sound Design  映画を響かせる「音」のつくり方
デイヴィッド・ゾンネンシャイン
フィルムアート社
2015-06-27