イアン・リード著、坂本あおい訳
 わたしは付き合ってそれほど経っていないジェイクと、彼の両親が住む農場へ向かっている。しかしわたしは2人の関係は終わりにしたいと彼に言い出せずにいた。わたしの携帯電話には正体不明の男からの着信が入り続けている。男は「答えを出すべき問いは、ただひとつ」というメッセージを残していた。
 多分、読み始めから読者が想像する話とは大分違う方向にぶん投げられていくのでは。帯の文句「ひとりより、ふたり。そのはずだった」という言葉の意味はそういうことだったのか…。これは出版社が上手いことやったなー。思わせぶりな対話パートも読み終わるとそういうふうに活きてくるのか!と納得。逆に言うと、読んでいる間はどういう活かされ方をするのか今一つわからない(というよりもそういうわからせ方は狙っていない)作品ではある。冒頭から不穏ではあるのだが、不穏さの種類がいつのまにか変わってしまうのだ。予備知識ないまま読むことをお勧めする。
 家族であっても恋人であっても他人は他人で、実際の所相手が何を考えているのか、何者なのかは完全にはわからない。しかし、しかし「それ」であってもそんなにもわからないのかという(ネタバレになるので、歯に物が挟まったような言い方になっていますが)寂寥感が漂う。読む人によってはなんだよこれ!とか笑っちゃったりするかもしれないオチだけど…。


13のショック (異色作家短篇集)
リチャード マシスン
早川書房
2005-11T