ユッシ・エズラ・オールスン著、吉田奈保子訳
 コペンハーゲン警察内の、未解決事件専門部署である特捜部Q。最近発生した老女殺人事件が未解決の女性教師殺人事件に似ているとの情報が元殺人捜査課課長のマークス・ヤコプスンから寄せられた。一方、別部署が若い女性を狙った連続ひき逃げ事件で立て込んでおり、Qのカールとアサドは2つの事件を掛け持ちで捜査することになる。しかしもう1人のQのメンバーであるローセは心身の不調に苦しんでいた。
 特捜部Qシリーズも7作目。シリーズ重ねるごとにボリュームが増していく気がするが、本作は特に詰め込みすぎで、ボリュームのためのボリュームになっているように思った。シリーズの他作品はどのように関係があるのかわからない複数の情報が真相に集約されていく構成にカタルシスがあったのだが、本作は結び付け方がかなり強引で、あまり整理されていない。更に気になったのは、「悪い女」に対する著者のうっすらとした悪意が感じられる所だ。被害者たちがともすると「殺されてもしょうがない」と思われかねないような、あさはかで愚かな描写になっているが、もし同じような条件で男性被害者だったらこういう描き方されたかな?犯人が憎しみ募らせたかな?とひっかかった。こういう女性はこういう風にずるいはず、みたいな古いステレオタイプ的な描き方で、なぜそうなっていくのか、という部分は(まあ本作の趣旨ではないからだけど)言及されない。背景を考えることは警官であるカールによってバカバカしいと一笑に付されてしまう。

特捜部Q―自撮りする女たち― (ハヤカワ・ミステリ)
ユッシ エーズラ オールスン
早川書房
2018-01-15


特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
ユッシ・エーズラ・オールスン
早川書房
2012-10-05