結婚して40年になるブリット=マリー(ペルニラ・アウグスト)は、ある日夫が長年浮気していたことを知る。ショックを受けた彼女は家を飛び出すが、ずっと専業主婦として生きてきた彼女に就職先はなかった。ようやく見つけたのは小さな田舎町ボリのユースセンターの管理人だった。監督はツバ・ノボトニー。原作はフレドリック・バックマンの小説『ブリット=マリーはここにいた』。
 邦題「幸せ」使い過ぎ問題がここにも…。本作の場合、原作の題名が作品の非常に大事な部分をずばり表しているので、かなり勿体ない。加えて、彼女の旅立ちにとって重要なのは必ずしも「幸せ」ではない。ブリット=マリーが幸せなのか、この先幸せになるのかどうかは正直わからない。彼女にとって大切なのは幸せかどうかよりもむしろ、自力で踏み出せたしどこにでも行けるということなのだ。
 原作がそういう感じなのかもしれないが、若干ファンタジーっぽい話ではある(同じ原作者、かつブリット=マリーも登場する『おばあちゃんのごめんねリスト』もそんな雰囲気だった)。なんでこうなるの?という設定が多いのだ。サッカーのルールすら知らないブリット=マリーがジュニアサッカーチームのコーチをやるのはいくら何でも無理すぎな設定に思ったし、チームの子供たちが納得するだろうかと気になってしまう。ブリット=マリーの人柄や姿勢が子供たちのポテンシャルを引き出したという解釈はできるが、そこに至る必然性みたいな要素があまり見受けられなかった。ブリット=マリーは家事スキルが非常に高い人なので(有能ではあるのだ)、その知識が活かされる仕事であればまた印象が違ったかもしれない。全く違う人生をいつからでも始めることができるという話なのだろうが、それまでの人生を否定されるみたいで、それはそれで辛い気がする。
 また、恋愛要素は必要だったのだろうか。夫の裏切りが他の男性の存在と彼からの承認によって埋め合わせされるみたいで、なんだかすっきりしない。

ブリット=マリーはここにいた
Fredrik Backman
早川書房
2018-10-18


おばあちゃんのごめんねリスト
Fredrick Backman
早川書房
2018-03-20