ウォルター・モズリイ著、田村義進訳
 身に覚えのない罪を着せられ刑務所に収監され、ニューヨーク市警を追われた元刑事のジョー・オリヴァー。10数年後、私立探偵となった彼の元に依頼が舞い込む。警察官を射殺した罪で死刑を宣告された黒人ジャーナリストの無実を証明してほしいというのだ。一方、彼自身の冤罪について、彼を「はめた」と告白する手紙が届く。オリヴァーは2つの事件の捜査を開始するが、予想以上に大きな闇に足を踏み入れていく。
 何とも古風なハードボイルド。タブレットが出てこなかったら70年代、80年代くらいの話だと言われてもわからないかも。オリヴァーは無実の罪を着せられ、獄中で心身ともに深く傷つく。妻との関係もこれがダメ押しになり破局。とは言え彼がハメられた罠は、えっ今時そんなトラップに引っかかるの?!というもので、彼自身のわきの甘さに付け込まれたとしか言いようがないんだよな…。オリヴァーには好みの女性がいると手を出さずにはいられないという悪癖があったのだ。妻との関係が破綻するのも時間の問題だったろうし、だからこそ自分を見放したことについて妻をあまり強くは責められないという自覚もある。シャバに戻ってからの振る舞いにも、ちょっとセックス依存症的な側面もあるように思えた。本作にいまひとつ乗れなかったのは、彼の女性との関係性、女性に求めるものには色々と問題あるのではと思えたのに、そこはスルーされていたからかもしれない。娘も出来が良すぎて、だ大分オリヴァーに都合のいい設定。なお、オリヴァーをサポートする元凶悪犯メルが、クレイジーだが仁義を守る良い(便利すぎるが)キャラクター。そして何だそのファッショニスタぶりは…。

流れは、いつか海へと (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
モズリイ,ウォルター
早川書房
2019-12-04


ブルー・ドレスの女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ウォルター モズリイ
早川書房
1995-12T