クリス・マクジョージ著、不二俶子訳
 かつて少年探偵として名をはせ、今はバラエティ番組の「名探偵」MCとしてタレント活動をしているモーガン・シェパードは、気付くとホテルのベッドに手錠で繋がれていた。その部屋には見知らぬ男女5人が閉じ込められていた。外に出る手段が見つからない中、バスルームで男性の死体が発見される。そして備え付けのTVに男が映し出され、3時間以内に殺人犯を見つけなければホテルを爆破すると告げる。
 密室、死体、そして探偵という直球の本格ミステリではあるのだが、「誰が」あるいは「誰なのか」という部分で何重かの仕掛けがされている。アルコールとドラッグに依存気味なシェパードの語りの信用できなさも含め、登場人物全員の話があやしく信用できない。殺人犯は誰なのか、彼らは何者なのか、犯人の狙いは何なのか。ばらばらに見えた要素が一つの目的に集約されていく。ケレンの強い、謎解きというよりもジェットコースタードラマ的なミステリ。明かされる仕掛けが大仰すぎてちょっと「本格」感が薄れてしまった。め、めんどくさいことやってるな犯人!終盤、ある人物の語り口調が急に不自然なものに変わるのだが、原文のニュアンスってどういう感じなのかな?不自然、人工的な口調になったということ?

名探偵の密室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
マクジョージ,クリス
早川書房
2019-08-06