動物と話せる獣医師のドリトル(ロバート・ダウニー・Jr./藤原啓治)は、妻を亡くして以降、森の中の屋敷に引きこもり、様々動物たちとひっそりと暮らしていた。しかしある日、病で倒れた女王を
助けてほしいと依頼を受ける。唯一の治療薬は伝説の島に生息する植物。ドリトルは仲間と共に伝説の島を目指す。原作は100年以上愛読されているヒュー・ロフティングの児童文学。監督はスティーブン・ギャガン。
吹替版で見た。ドリトル先生(原作読者にとってはやっぱり「先生」だよな)は私の中ではどうもダウニー・Jr.のイメージではないし、ドリトル先生に異性のパートナーがいるというのもイメージ違うのだが、原作とは別物としてまあまあ楽しい。原作との共通項は、動物の言葉を話せる医者って所くらいで、あとは動物たちの性格含めおおむねオリジナルだ。ストーリーは幻の島にお宝探しに行くぞ!程度の雑さなのだが、細かいことを気にせず老若男女が楽しめそうだし、変なひねりのない素直なおおらかさなので、嫌な感じがしない。
 動物たちは全てCGなのだろうが、動きや表情が意外と「動物」寄りで、言葉は話す(というかドリトル先生にのみわかる)が人間に寄せすぎていない。ここがとてもよかった。人間に寄せすぎるとデフォルメが下品になる印象があるのだが、そのあたりの踏みとどまり方が的確だったように思う。トンボのみちょっとまんがっぽすぎるかなという気はしたが。
 吹替え版で見たのだが、ダウニー・Jr.役の藤原にとってはこれが遺作ということになるのだろうか。藤原以外のダウニー・Jr.の声にはなかなか慣れそうもなく、寂しい限りだ。私は普段は字幕派だが、本作に限っては吹替え版を推奨したい。本作、日本語吹き替え声優が非常に豪華。ゴリラが小野大輔、シロクマが中村悠一、アヒルが朴璐美、犬が斉藤壮馬等、普段主役を張っているキャストがぞろぞろ登場するので、声優ファン、アニメファンにもお勧め。なおプロ声優以外の起用としてはオウム役が石田ゆり子なのだが、石田ゆり子にたしなめられたい人にはかなり良いと思います。原作のポリネシアのイメージとは違うんだけど、これはこれで素敵。また霜降り明星の2人がある生き物役で出演しているが、予想外に様になっている。