ギョーム・ミュッソ著、吉田恒雄訳
 元刑事のマデリンと劇作家のガスパールは、パリのアパルトマンで出会う。急死した天才画家の部屋の賃貸契約が、管理人のミスによってかち合ってしまったのだ。2人は死んだ画家の遺作三点を一緒に探し始める。画家の家族にはある悲劇が起きており、2人の遺作創作はその悲劇の謎とも絡み合っていく。
 個人的には著者の前作『ブルックリンの少女』の方が好みだが、読者に先を気にさせる構造、予想のつかなさ(というか超展開すれすれ…)は本作の方が上回っているように思う。最初はアート探偵のような行為から始まるが、事件の深刻さが増していく。一方で、ストーリー上美術の話題、実在のアーティスト名が頻出したり、著者の趣味なのか映画の話題がちらほら出てくる所が楽しい。このアーティスト、俳優をどういう形で引き合いに出すのかセンスが問われるところだと思うが、なかなかの説得力だと思う。引き合いに出すことで、画家とその作品がどういうポジションなのか想像しやすい。
 マデリンはともかく、ガスパールはかなり問題のある人で、彼の暴走からミステリとして話が動き出すと言ってもいい。それ調べる必要も権限もないよね!?と突っ込みたくなるし、マデリンに対する態度もデリカシーがない。基本的に失礼なのだ。なお、マデリンもガスパールも子供を持つということに別々の形ではあるが、葛藤・問題を抱えている。それだけに倫理的にどうなのと疑問に思う所も多々あった。子供が自分の欠損を埋める道具になってしまっていないか?

パリのアパルトマン (集英社文庫)
ギヨーム・ミュッソ
集英社
2019-11-20


ブルックリンの少女 (集英社文庫)
ギヨーム・ミュッソ
集英社
2018-06-21