カルメン・マリア・マチャド著、小澤英実・小澤身和子・岸本佐知子・松田青子訳
 私の首にはリボンが結ばれている。そのリボンに他人が触ってはいけない。でも夫はリボンが気になって仕方ないらしい…『夫の縫い目』。関係が破綻しそうな恋人が、突然私に赤ん坊を渡す…『母たち』。作家である私はアーチスト・イン・レジデンスで山の中のホテルを訪れる…『レジデンス』。女性の身体の変容、違和感、親密さとその破綻にまつわる作品集。
 快楽・苦痛を含む身体感覚は極めて個人的なものだが、それが社会的な関係性・価値観を背景に置いた時、違和感やひずみが生まれることがある。最愛のパートナーとの関係が段々不穏になっていく『母たち』、『本物の女には体がある』でドレスになっていく女性たち、摂食障害のイメージがつきまとう『八口食べる』、女性作家という存在に対する世間の先入観・イメージに対する皮肉と怒りを感じる『レジデンス』等、自分の在り方が他者・社会が一方的に持つイメージや暴力によって浸食されていく。特に『本物の女には体がある』は行くも地獄、戻るも地獄のような辛さがあった。ドレスになりきってしまえばいっそ楽なのかもしれないが。どの作品も不穏で、世界の終わりの予兆のようなものを感じさせる。特に『リスト』は世界の終わりに向かいセックスの相手をリスト化していく話なのだが、終末をもたらす要因がタイムリーすぎてぞわりとした。

彼女の体とその他の断片
カルメン・マリア・マチャド
2020-05-01



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エトセトラブックス
2020-04-11