ダウン症の青年ザック(ザック・ゴッツァーゲン)は長年の夢だったプロレスラーの養成学校に入る為、施設を脱走する。その道中で漁師のタイラー(シャイア・ラブーフ)と出会い旅を共にするが、彼は漁師仲間の獲物を盗み網に火をつけたことで追われる身だった。ザックを追ってきた介護士のエレノア(ダコタ・ジョンソン)も加わり、ザックを目的地に送り届けようとする。監督はタイラー・ニルソン&マイケル・シュワルツ。
 ザックが暮らしているのはどうやら老人ホームらしいのだが、高齢者介護と障碍者支援とは別のスキルを必要とするものだろう。多分、他に手近な施設がないから無理やり入れられているんだろうが、ザックに適切な手助けをしてくれる、あるいは適切な施設を手配してくれる家族が介助者がいないということなのだろう。エレノアはザックのことを気にかけてはいるが、過保護すぎて彼に出来ることを見落としている。見た限りではザックは身の回りのことはそこそこ自分で出来るし、つきっきりでケアをしなければならないというわけでもない。ザックは自分が本来がいるべきではない場所から脱出したのだと言える。
 タイラーも同様で、地元の漁師仲間との関係は修復しようがない。彼の自暴自棄な振る舞いは兄の死によるものだとわかってくる。兄がタイラーにとってのいるべき場所で、彼はその場所を失ってしまったのだ。エレノアについても、タイラーと同様に大切な人と離別している。居場所をなくした人たちが自分がいるべき場所を見つけにいくロードムービーだと言える。いるべき場所とは具体的な場があるというよりも、ここは自分がいるべき場所だと思わせてくる人がいるかどうかなのだろう。
 心温まるストーリーではあるのだが、話の軸もディティールもわりとぼんやりしている。3人の間に何で信頼関係が成立したのかという描写が大分ふわっとしており、多分にご都合主義的だ。そんな簡単に流されちゃうの?!という感じは否めない。全体的に散漫な所が残念だ。音楽も含め、アメリカ南部の風土には魅力があるので勿体ない。なお、シャイア・ラブーフ出演作を久々に見たのだが、年齢重ねて痩せてきたらクリスチャン・ベールに似てきた気がする。

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