ルイーザ・メイ・オルコット著、麻生九美訳
 メグ、ジョー、ベス、エイミーの四姉妹は、優しい母親と共に家を守り、南北戦争に従軍している父親の無事を祈っていた。隣家のローレンス氏やその孫のローリーらと親しくなり、成長していく姉妹の1年間。
 光文社古典新訳文庫版で読んだ。150年の間少女たち(だけではないが)に愛読されてきただけのことはあって、やはり面白い。四姉妹の姿が生き生きと立ち上がってくる。読書を愛し文筆家を目指す、率直で自立心が高いジョーが読者には一番人気があるのだろう(私も好きだ)が、新訳で改めて読むと、他の3人もそれぞれ個性がはっきりしており魅力がある。メグのいかにも「お姉さん」的な振る舞いとちょっと虚栄心に負けそうになるところや、ベスが人と接することを前よりも怖がらなくなっていく様、エイミーの気取り屋さんぶりの微笑ましさ等、書き分けがはっきりしており、彼女らの欠点も愛らしく見えてくる。何より、四姉妹にしろローリーにしろ、ちゃんと「子供」として描かれているということがよくわかった。家族の一員としての責任は求められるが、まだよく遊び良く学ぶ途上にある存在として位置づけられている。キリスト教的な教条や愛国心は現代の目からするとさすがに古いし、キリスト教下の家父長制はジョーの独立心とは矛盾する。それでもこの四姉妹のような女の子は今もいると思える、躍動感が感じられた。新訳でのジョーやローリーの話し言葉のニュアンスも、ほどよい砕け加減と性別のニュートラルさがあって良い。

若草物語 (光文社古典新訳文庫)
オルコット,ルイーザ・メイ
光文社
2017-10-11


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