イギリス、コーンウォール地方の港町ポート・アイザック。友人とバカンスに来た音楽プロデューサーのダニー(ダニエル・メイズ)は地元の漁師たちのバンド「フィッシャーマンズ・フレンズ」のライブを見かける。上司から彼らと契約を取れと焚きつけられ、町に残って交渉を始めるが、漁師たちはよそ者への不信感でいっぱい。監督はクリス・フォギン。
 実在の漁師バンドの実話をドラマ化した作品。そんなに達者だったりひねりがあったりするストーリーテリングではないのだが、音楽と舞台に魅力がある。また、フィッシャーマンズ・フレンズのメンバーが皆チャーミングだった。漁師たちの歌はメロディは美しいが、男ばかりの職場で楽しみの為に歌うという側面が強いので、歌詞は結構下世話だったり色っぽかったりする。結婚式でそれを歌うの?!というエピソードには文化の差というか価値観の差というか…。実は嫌がらせ?とも思ったけど他意はなさそうなので笑ってしまう。正直、セクハラだよなと思わなくもないが、そういう文化圏の人たちでもある(ぜひ是正していただきたいけど…)。ロンドンのパブでのエピソードは、仲間と一緒に歌う為の音楽ということがよくわかるもので楽しい。あの歌、老若男女がそこそこ知っているものなんだな。
 信用されるには相手の文化圏に入っていくしかないという話でもあった。ダニーの場合、ある事情から相手の信頼を裏切ってしまう、かつ失望させてしまう。彼は漁師たちにとっての仲間の意味も、地域の価値も、約束の重さも自分の価値観で計ってしまう。それで大失敗するのだ。すれ違いにハラハラするが、相手の価値観、ルールを知ろうとするのってコミュニケーションの第一歩なんだろうなと。都会に住む者から見ると人間関係が密すぎて息苦しそうだったり、ジェンダー観が古いままだったりするが、コミュニティの親密さ、豊かさもある。何より彼らの音楽はそのコミュニティから生まれるものなのだ。

歌え!フィッシャーマン (レンタル専用版) [DVD]
クヌート・エリーク・イエンセン
タキコーポレーション
2003-09-26


シェルシーカーズ〈上〉
ロザムンド ピルチャー
朔北社
2014-12