アメリカ国務長官シャーロット・フィールド(シャリーズ・セロン)は大統領選に出馬することを決意。スピーチの原稿をジャーナリストのフレッド(セス・ローゲン)に依頼するが、共に行動するうちに2人は恋に落ちる。しかし立場が違いすぎる2人の関係は前途多難だった。監督はジョナサン・レビン。
 男女逆転シンデレララブコメみたいな言われ方の作品だが、そこにはそれほど新鮮味は感じない。これは時代が変わりつつある(女性の方が社会的な地位が高いカップルも珍しくなりつつある)ということなんだろうし、アイディアとしてそんなに斬新というわけではないということでもあるだろう(笑)。ある事件の時にシャーロットが、世間が見るのは問題を起こした当事者の男性ではなくそのパートナーの女性だ、とぼやくところは昔から変わらずトホホ感あるが。
 新鮮だったのはむしろ、フレッドがシャーロットとの境遇の差や、自分が失職中であることをさほど卑下しないという所。フレッドが自分はシャーロットにふさわしくないのではと思うのは、それとは別の所、自分のふるまいに問題があったという所だ。シャーロットの方もフレッドを職業や所得によって見下すことはない。お互いの考え方と振る舞いを見てお互いを評価(という言い方はあんまり感じよくないけど…)する。対等なのだ。フレッドがシャーロットに協力し彼女を励ますのも、まず彼女の目指す政策に正しさを感じ、共感したからだ。冷静に考えると基本的なことなのだが、2人がスピーチ製作にしろセックスにしろ、自分はどうしたいのか、どう思っているのかちゃんと確認し落としどころを見つけて実行しているということに何だかほっとする。
 明るく希望に満ちたラブコメではあるのだが、今のアメリカは本作でシャーロットとフレッドが目指すのとは真逆の方向に進んでいる。その中で本作を見ると、そんなこと言われてもなぁ…と若干冷めてしまうのも正直なところだ。こういう状況だから本作のような「こういう方向がいいんだよ!」と言い切る作品が必要なのだとも言えるだろうが。


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2019-12-04