編集者のアラン(ギョーム・カネ)は電子書籍事業で時流に乗ろうと奮闘中。友人で作家のレオナール(バンサン・マケーニュ)から打診があった新刊の出版を断るが、アランの妻で女優のセレナ(ジュリエット・ビノシュ)は新作を好評する。レオナールの妻で政治家秘書のヴァレリー(ノラ・ハムザウィ)はアランの意見を支持。一方アランは部下のロール(クリスタ・テレ)と浮気をしていた。監督・脚本はオリビエ・アサイヤス。
 すったもんだしても不倫しあっていても夫婦は夫婦という、他人にはちょっとわかりにくい男女の絆を描く。お互いに思想・主義に全面的に同意していなくても愛している(そして意外と夫婦としてうまくいっている)というヴァレリーのスタンスが本作に登場する人たちを象徴しているように思った。著作をけなされたから慰めてほしいというレオナールへの返しも痛快。彼を愛してはいるが、出来の悪い作品はどう頑張っても出来が悪いし、自分は「慰め要員」ではないというわけ。
 皆、不倫・浮気に対して結構けろっとしている。とは言え夫婦生活と愛人との生活をすっぱり切り分けられるというわけでもない。アランとセレナはヴァレリーよりも湿度が高い感じで、2人の間のわだかまりも深い。ただ、浮気しているという罪悪感や嫉妬というより、パートナーとしての生き方がすれ違いがちという感じだった。
 2組の夫婦のあれやこれやの話であると同時に、実は出版業界の話でもあることは意外だった。実在の書籍のタイトルも色々出てくるのでちょっとうれしい。かなり単純化された描き方にはなっているが、ここ数年のフランスでの電子書籍の動きがちょと垣間見える。書籍の電子化の可能性の大きさを信じているロール、ビジネスとしては電子化に前向きだが紙の本の出版に愛着を持つアラン、電子化には懐疑的なレオナールと、それぞれ立場は違うが出版という斜陽業界(これはフランスでも避けようがないみたいで辛い…)に身を置く人たちの悲喜こもごもがじんわりときた。自作の評判に一喜一憂するレオナールはちょっとうざいのだが、まあ気になっちゃうよなー。

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