ジャーナリストのアベル(ルイ・ガレル)は、3年間同棲したマリアンヌ(レティシア・カスタ)から妊娠を告げられた。父親はアベルの親友ポールだという。アベルとマリアンヌは別れ、彼女はポールと結婚。3年後、ポールの告別式で2人は再会する。更にポールの妹イヴ(リリー=ローズ・デップ)がポールへの恋心を告白してくる。監督は主演も兼ねているルイ・ガレル。
 フィリップ・ガレルの息子のルイ・ガレル監督作だが、父親よりも作風は身軽でユーモラス。男女のすったもんだを描いても悲壮感がない。もはやそれは自虐ギャグなのか?という感じで男性が右往左往する様が描かれる。ナルシズムが薄いところがいい。
 アベルはマリアンヌの言うこともイヴの言うことも基本的に真に受け、よく言えば素直、悪く言えば騙されやすい。笑っちゃうくらいの人の好さなのだが、優しいと言えば優しい。結構翻弄されているのだが、マリアンヌに対してもイヴに対してもあまり怒らない。逆に彼女に対する自分の愛を再確認しちゃったりするから、基本的に善人なんだろうな…。本作、女性たちは癖が強いが悪意ある人間は基本的にいない。ちょっとやりすぎちゃったりひねくれていたりする、困った人たちだがどこか可愛げがあった。マリアンヌの行動が許せないという人はいそうだけど、個人的にはあまり責める気になれない。自分本位だか他人任せなのかわからない行動だけど、自分でもどうにもできないことってあるんじゃないかなと。
 恋のしょうもなさ、フェアではなさとユーモラスに描くが、本作の真の主人公はマリアンヌの息子ではないかと思う。こまっしゃくれた美少年で母親の恋人であるアベルに敵意を見せるが、同時に親の愛情を切実に欲している。マリアンヌはしっかりとした母親だが、万事において子供が最優先かというとそうでもない(それを普通のこととして描いている、マリアンヌを責めない描き方はとても良いと思う)所もある。少年が自分にとっての家族の形、大人との関係を掴みなおすという側面もあったのかなと、ラストシーンを見て思った。

愛の誕生[VHS]
ルー・カステル
2000-08-24


グッバイ・ゴダール! [DVD]
ルイ・ガレル
ギャガ
2020-01-08