ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)の意志を受け継ぎ、フォースを覚醒させ修行に励むレイ(デイジー・リドリー)。一方、祖父ダース・ベイダーに傾倒し銀河の支配者に登り詰めようとするカイロ・レン(アダム・ドライバー)。レイはレジスタンスのポー(オスカー・アイザック)やフィン(ジョン・ボイエガ)らと共に戦いに挑む。監督はJ.J.エイブラムス。
 1977年からの全9エピソード、ついに完結。関係者の皆様お疲れ様でした!解散!と言いたくなる。エピソード7,8,9は一方では現代性を考慮しつつ、一方ではオールドファン達を配慮しつつという四苦八苦が垣間見える作品だった。私はスターウォーズシリーズに思い入れがないし、エピソード4,5,6のリアルタイム世代ではないので正直そんなに面白いとも思っていなかった(スターウォーズ以降、フォロワー的作品が大量に出た後の世代なので、最早新鮮さを感じられない)。しかし、7,8,9については結構面白く見ることができた。やはり同時代性というのは馬鹿にできないのだと思う。
 スカイウォーカーの夜明けというサブタイトルだが、スカイウォーカー一族という血からの解放でもあり、帰属でもある、ただしどちらも自分で選ぶことができるのだという落としどころは苦し紛れというよりも、今スターウォーズを描くならこうなるだろう、という所では。レジスタンスらの自分たちは一人ではない、どこかに必ず後に続く者がいるという信念も、超王道ではあるが世界の分断が深まる現代にはより響くものがある。
 ただ、難点も結構ある。相変わらずレジスタンス側の作戦がぶっつけ本番的で勝てそうに思えない所や、帝国側も組織が現在どうなっているのか最後までよくわからない(組織の規模とか構成とかがよくわからない…カイロ・レンが妙に高い位置にいることで組織のスケール感が消えてるんだよな…)所など、設定にしろストーリー展開にしろ見せ方の大雑把さが目立つ。また、これは本作に限ったことではなくシリーズ全般的にその傾向があると思うのだが、地上戦の際の位置関係や移動距離等、空間設定がよくわからない。空中戦はかっこいいのに、地上の白兵戦はとりあえず大群動かしました的な大雑把さを感じる。
 レイ、ポー、フィンの関係がロマンスではなく、友情をベースにしたものであるというのはよかった。フィンはレイに対して何か言いたいことがあったみたいだけど(笑)、フィン本人が今回意外とモテていてレイへの感情がうやむやになっている。その一方で、レイとカイロ・レンに関しては、そうじゃないんだよなぁ…という不満が否めない。もう一人の自分みたいなもので、ロマンスとはちょっと違うと思う。