イギリスの田舎の牧場に暮らすひつじのショーンの前に、宇宙人が現れる。ルーラという名前らしいその宇宙人はUFOで遠い星からやってきたが、牧場に迷い込んでしまったようだった。ショーンはルーラをUFOに送り届けようとするが。監督はリチャード・フェラン&ウィル・ベッカー。
 条件反射的にカワイイー!と思ってしまうが、よく考えるとアードマンスタジオのキャラクターはわかりやすく記号的に可愛いデザインなわけではない。むしろちょっと不細工あったり不気味だったりする。眼かっぴらいて歯茎むき出しにして、なんて表情も頻繁にみられる。わかりやすい可愛さに落とし込まないように(特に人間と犬)配慮されており、かつそれでも動き出すと可愛く見えるという絶妙なデザイン。相当テクニックがいるよなと毎回うなる。
 ストップモーションアニメとしての精度は毎度のことながらすさまじく、特殊効果も使えるし多少は使っているのだろうが、あくまでストップモーションアニメでやるという意地と執念を感じる。どこまでを実写でやるのかという線引きみたいなものがどのへんにあるのか気になった。今回も映画ネタはちょいちょい入れられており、往年の名作SF映画のあれこれはもちろん、Xファイル音楽付きというのには笑ってしまった。1フレーズであれだ!と思い出せる音楽って強いよな。
 宇宙人のルーラはまだ小さい子供なのだが、そういえばショーンも子供という設定だったなと思いだした。ショーンとルーラがいたずらに夢中で悪ノリをしていく様は、楽しいが危なっかしい。そこに「大人」として牧羊犬(牧場主は全く大人ではない!)がダメ出しするのには、少々うざったくもほっとするのだ。子供のバックアップをするのが大人なんだよなと。また本作、いわゆる悪役として登場する人物が、悪役のままにされないところにもほっとする。彼女にある救いが訪れるシーンにはぐっときてしまった。


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リチャード・ドレイファス
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2015-12-25