リギルド・センチュリーと呼ばれる未来。貴重なエネルギー源フォトン・バッテリーを宇宙から地球上に運ぶ軌道エレベーター、「キャピタル・タワー」を護衛する「キャピタル・ガード」の候補生ベルリ・ゼナム(石井マーク)は、実習中に宇宙海賊の襲撃に遭う。海賊の一味であるアイーダ(嶋村侑)を捕らえるが、彼女が乗っていたモビルスーツ「G-セルフ」をベルリはなぜか起動することができた。総監督は富野由悠季。
 2014年に放送されたTVアニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』を劇場版として再構成した5部作の1作目。5部作…先は長い…。その長さゆえに見ようかどうか迷っていたが、見るとやっぱり楽しい。決してストーリーテリングがスマートなわけではなく、いきなり始まりいきなり終わる感じなのだが、躍動感に満ちている。作画がいいというより(一部リライトされているが基本TVシリーズの再構成なので)、キャラクターの演技や声優の演技によるところが大きいように思う。富野節とでもいうか、独特なセリフ回しが癖になる。言葉のやり取りの文脈が必ずしもかみ合っているわけではない所が逆に生の会話っぽい。
 また、ベルリの賢いがまだ子供で視野が狭い所や、一見大人っぽく見えるアイーダの余裕のなさなど、この人たちはまだ子供なんですよという示唆が結構はっきりしていたんだなと改めて感じた。特にアイーダの振る舞いは一見すごいわがままに見えるが、彼女なりに自分の役割を果たそうとあがいているんだなとよくわかる。自分が至らないことへの憤りは、自分にできないことをさらっとやってしまったベルリに対する憤りでもあり、だから八つ当たりにも見えてしまう。
 情報がぱんぱんに詰め込まれているので、監督は子供に見てほしいらしいけど子供にはついていけないのではないかなという気がした。TV版で見たときよりもかなり交通整理された印象にはなっているが、テクノロジーの度合いや国の体制(宗教国家に近い感じなのね)、エネルギー供給やそれに伴う軋轢など、矢継ぎ早に情報を繰り出してくる。密度が相当高い。