子供ができずに悩んでいるトーリ(エリザベス・バンクス)とカイル(デビッド・デンマン)夫婦の元に、赤ん坊がやってきた。その男の子ブランドン(ジャクソン・A・ダン)は聡明で成績優秀に育った。しかし12歳になったブランドンは異常な力を発揮し始め、人が変わったようになる・監督はデビッド・ヤロベスキー。
 自分たちの子供が何を考えているのか、どういう人物なのかわからないという子供の他者性を極端に拡大したような話であり、スーパーマンが悪い子だったらという話である。良い子か悪い子かは親の人柄や努力によって決まるとは限らないからな…。とは言え、子供の他者性についても、異能のダークサイドについても掘り下げ方はさほど深くなく、意外とあっさりしている。自分の子供が邪悪な存在だとは信じたくない、しかし邪悪である証拠が次々と出てくるというシチュエーションは、親としては相当辛く葛藤するところだと思うのだが、父親も母親も結構決断が早いな(笑)。重苦しくなりそうなところ、あまり重苦しくないのはあえてなのかそういう作風(全般的にあまり心理の彫り込みがうまいとは思えない)なのか。良くも悪くも軽め。さらっと見られて(時間的にもコンパクトで)いいといえばいいのだが、心理的な緊張感、サスペンス要素がもっと強いのかと思っていたので拍子抜けした。
 登場人物の心情や行動の演出、ブランドンの邪悪さの演出はわりとあっさり目なのだが、所々でスプラッタ、グロテスク要素をチラ見させていくところに監督の性癖を感じた。ストーリー展開上そんなに必要ないし、一連の流れの中で見せるというよりもわざわざそのシーンをねじこんできている印象だった。

ゴールデンボーイ [DVD]
ブラッド・レンフロ
パイオニアLDC
1999-12-22